令和を生きる、勘違いおじさん。そろそろ絶滅危惧種にしたい。
私たちは思っている以上に「勘違いおじさん」に遭遇しているし、我慢してきた場面があるはず。私自身、先日、白目むいて泡を吹いてしまうような出来事があった。今から書く記事は、愚痴ではなく(正当化大事)、この令和の時代にこれ以上「勘違いおじさん」を増やさないゾ、という使命感のもと書く。世の男性達に「こうならないで」を伝えたい。女性達に「我慢すんのやめていいよ」を伝えたい。
(ちなみに「勘違いおじさん」という名称をつけているが、年齢の定義はない、やってることが「古い価値観」ということ。)
ことの発端は、共通の知人が集まる人数多めの食事会での出来事。
「おまえは、横でチョコンっと静かに座ってれば良いよ」
今、男性と女性どちらの声で脳内再生した?
はい、正解。このセリフを私につい先日かましてきたのは、とある企業の男性(会の幹事)(某テレビ会社で役職ありだけど、正直大した権力の持ち主ですらないと個人的には思う)。
「チョコンっ」と「静かに」座ることがどう考えても得意ではない、私みたいなドロドロの自己主張の塊みたいな女にこんなことを要求するなんて、もはや「やるじゃん」と感心してしまいそうになった。場の雰囲気もあるし、100歩譲って「お、まえかわ(←私)は、横でチョコ食べながら座ってて良いよ」の聞き間違いかもしれないので、一旦聞こえなかったことにした。
ここから先は彼のことを、適当に仮名で「草」としよう。
草:「このお店予約とるの大変なんだけど、来るの初めて?」
そう問われた私は正直に、「いえ、以前何度か来たことが」。実際に、仲の良い身内たちと来たことがあったからだ。ぶっちゃけ、なんなら自分の枠も持ってる。
草:「誘わなきゃよかった〜。もっと反応の良い、若い可愛い子とこれからチェンジでもいいですかー笑。今からチェンジチェンジ。あー、もっと若い子呼べばよかった。若いk(ry」
そもそも、知人同士の食事会に「チェンジ」もなにもない。私は「チェンジ」される要員ではない。そもそも「若い子」がなんでも喜ぶと思ってるバイアスも、全ての「若い子」に謝ってほしい。私たちは、行くお店に対して男性の望む反応をするマシーンではないし、思い通りの反応がなかったら「チェンジ」なんて言葉を使われる存在ではない。そして、確かに私は若くないかもしれないが、若い(矛盾)。
ここで、さらに伝えておきたいことがある。
この食事会、いわゆる「男性が女性に奢る」みたいな、巷で炎上中の案件ではなく、「各々、自分の分は自分で会計」(安くはない)。
「男性が女性に奢る」という方程式は私の中でも成り立っていないので、お金を払うこと自体は何ら問題ない。私は「気持ちよく、好きな人たちと楽しく食事をする」ならば、場所はどこだっていい。親友といくファミレスほど心地の良いものはない。恋人といくラーメンが一番幸せ。けれど、もちろん時には値段の張るものも食べたい時はある。けれど、それこそ「チェンジ」「静かにちょこんっと」なんて言われて、気持ちよくない状態で食べる高額の料理は、大して美味しくもないのだ。
こんなのまだまだ序盤だ。その後、草氏は無理ゲーすぎる要求のオンパレード。
草:「もっと可愛い反応してほしい」「前みんなで飲んだ時のゆうなはもっと楽しそうで、可愛らしかった、あの時の感じになってほしい」「あの日の君はノリがよかった、だから声をかけたのに残念、あのテンションだけでこれから接してほしい(笑)」
ちなみに、本人は「おもしろい」と思って言ってるように見受けられたが、私は、返す言葉もなく松野一松のような目で見てしまった。
確かに私は、一般的にテンションが低そうにみえるタイプかもしれない。
けれど、楽しい時はある程度ルンルンしている。それこそ、草氏のいう「あの日」の私は、大好きな別の友人たちも沢山その場にいたので、とても楽しく過ごしていたのだろう。好きなアニメの推しの登場回なんてルンルンしすぎて体が震えている。けれど、少なくとも「もっと可愛い反応をしろ」なんていう相手に対して、なんで無理してニーズに応えなきゃならんの。テンション低いどころか、高いお料理を不味く食べてテンションなんてどん底だ。
実は、草氏の頓珍漢プレーはこのあとも続いたが割愛する(優しい)。
普段の私なら、割とガッツリ説教モードONになっていたかもしれないが、他の共通の知人との関係性も考えながら抑えた・・。そもそも、私は普段からフェミニズム色強め、仕事ではルッキズムを発信していることからも、実は周りにこういった「勘違いおじさん」はもうあまりいない。私への言動は気を遣っているのか(だとしたら、それは良いきっかけになるし)、そもそも周りが淘汰されているのかわからないが、絵にかいたような「勘違いおじさん」との遭遇は本当に久しぶりだった。
けれど、帰宅して早々に女友達に話したら「ああ、いるよねー」と。
・・・やっぱり、まだまだいるのか!
そして、彼がいう「若い子」「可愛い反応をしてくれる子」は彼の思い通りの反応を日頃してくれているんだとしたら、その中の一定数は、「仕事の上司だから」「自分の夢を叶えるのに必要な人脈だから」「社会的に逆らえない」「場の空気を壊せない」とか、色々な理由から我慢している子たちも一定数いるのではないだろうか。いるっしょ。その子たちが、心をすり減らさないように自己防衛をすることも大事だけど、そもそもそんな状態を作り出している「勘違いおじさん」を絶滅危惧種にしていくべきだ。
草氏からは、その後も懲りずに「おまえ来週予定どう?可愛い感じできてくれるなら、仕事に繋がりそうな人いる飲み会あるから誘ってあげる。」と、俺様感丸出しのラインがきたが、当たり前に無視。別に仕事困ってないし、おめーの力も必要ないから。けど、草の微々たる力を実際に必要とするような社会人歴まもない子だったら?我慢していくのかもしれない。
無視した連絡に対しては、「うわぁ無視されたーなんなの?」と笑。「無視された」って追いラインするのってメンヘラちゃん…笑。地雷かよ。無視したくなる連絡してくんなや。スマホが凹みそうになる指圧でブロックした。
そもそも、私の中で「おまえ」呼びが許されるのは、コナンの赤井さんと、NANAのタクミだけだ。三次元の世界で「おまえ」はアウト。
ここまで露骨な「勘違いおじさん」はもうさすがに少ないと信じたいが、少なくとも「俺についてくる若くて可愛い子最高〜」「地位がある程度あれば女はすぐ呼べる」と脳内豪語してる自分が「イケてる」と少しでも思っている人がいれば、はっきり言います、勘違いです。くそ勘違い。みんな困っています。女性は男性を喜ばせるための存在ではりません。
あなたたちが、そろそろ「チェンジ」です。
[この記事を書いた人]前川裕奈
1989年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。三井不動産に勤務後、早稲田大学大学院にて国際関係学の修士号を取得。その後、 独立行政法人JICAでの仕事を通してスリランカに出会う。後に外務省の専門調査員としてスリランカに駐在。2019年8月にセルフラブをテーマとした、フィットネスウェアブランド「kelluna.」を起業し代表に就任。ブランドを通して、日本のルッキズム問題を発信。現在は、日本とスリランカを行き来しながらkelluna.を運営するほか、「ジェンダー」「ルッキズム」などについて企業や学校などで講演を行う。著書に『そのカワイイは誰のため? ルッキズムをやっつけたくてスリランカで起業した話』(イカロス出版)。