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アルゼンチンのマザコン事情と、ちょうどいい距離感

「マザコン」という言葉から

主人が「アルゼンチン人」というと、マザコンを心配されることがある。ヨーロッパ系、特にスペインやイタリアにルーツを持つアルゼンチン人男性は、間違いなくマザコンです。

6歳の息子のママ友と子どもとの距離感を見ていても、日本とは違う近さに驚くことがある。小学校高学年になっても靴下を履かせてもらっていたり、ママと手を繋いで歩いていたり。

小学生のうちは、誘拐や危険な目に遭うことを考慮して「道では危ないからママと手を繋いで歩きなさい」と教えられるのも、手を繋ぐ理由のひとつ。

それは理解できるけれど、日本育ちの私には、ちょっと異様に感じてしまう時もある。

「マザコン」という言葉から、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』の冬彦さんを思い浮かべずにはいられない私。

マザコンから始まる、ドロドロした嫁姑の対決に他人事ならワクワクしちゃうかも。

アルゼンチンのマザコン度・標準仕様

アルゼンチンの生活の中で、「家族で過ごす時間」というのは避けて通れません。

週末は家族でご飯を食べるのが当たり前で、毎週実家に帰って昼食、もしくは夕食を囲むのは、もはや文化。

男性もママとは頻繁に話をします。

例えば、タクシーに乗ったらスピーカーでママと電話を繋ぎ、私が乗車していても気にするそぶりもなく、そのまま会話し続ける運転手に、過去何度も当たったことがある

ママと話しながら運転して何が悪い?という雰囲気で話の内容を聞かれてもおかまいなし。

家族を大切にする文化が強いので、日本でいう「自立=家族とは距離をとる」という感覚とは、少し違うのだと思う。

最初の頃は驚くことも多かったけれど、この文化に慣れてしまうと、日本にいた時の自分と家族の関係を少し後悔したりもするのです。

我が家のマザコン度合い

我が家は、主人の実家から300メートルほどの、まさにスープの冷めない距離。一緒に住むようになって3度家を変えたけれど、今の家が一番遠い。

義母の家には、週末どころかほぼ毎日通っていて、お茶を飲みに行ったり、相談に行ったり。

さかのぼると同棲時代は、当時の家から歩いて30メートルの義母の家で、よくふたりで夕食をご相伴していた。

現在も、主人が在宅勤務で、私が不在のときは、義母の家へ行って昼食を食べてくる。
「今日、お昼どうしたの?」
「ママの家」
「そうなんだー。」

これは私たち夫婦の定例の会話である。

お昼を食べに行かない日は、主人が息子を学校に迎えにいったまま義母の家にお茶を飲みに行って、夕食まで帰ってこないことも。

主人と義母は、毎日電話かメッセージで話しているし、これだけ聞くと、なかなかのマザコン案件である。

マザコンではダメですか?

ただ、主人と義母の距離感に、嫌な気持ちになることはない。

主人は「義母の言う通り」という操り人形のような人ではないし、私と義母の間に立って、きちんと立ち回ってくれる。

私も義母も嫌な気持ちにならないように、要望や希望を伝える手伝いをしてくれるし、外国人の私が嫁に来て疎外感を感じないよう、ファミリーの一員として大切にしてくれているのがわかるから。

家族との距離が近いからといって、私の存在を消すようなことを主人はしない。だから、心地よく過ごせているのかもしれない。

そして何より、楽。

主人のご飯を作らなくていいのは、グータラ主婦の私には最高である。家の中で心置きなく1人きりの時間が増えるのは、たいへん喜ばしい。

マザコン万歳。

それぞれのマザコン事情

アルゼンチン人男性と結婚した日本人女性の話を聞くと、さまざまなマザコンエピソードが聞こえてくる。

やはり日本とは文化が違うので、実家家族との距離が近いのは苦手、という人も多い。

週末の食事は1、2時間では終わらず、5時間は当たり前。どうでもいい話の尽きないアルゼンチン人のスペイン語を、延々と毎週、毎週聞くのは正直しんどいし、腕にママの名前をタトゥーで彫っている旦那がいたら、それは日本人ならちょっと引いてしまうかもしれない。

大切なのは、距離感

日本では、いまだにマザコン男子は嫌われがちだけれど、私自身はマザコンを悪だとは思っていない。

自分の息子が将来、結婚して家に帰ってこなくなったら、それはそれで寂しいはず。

問題は、母親との距離感。そして、文化と個性、あとは自分自身の許容範囲だと思う。

タンゴも、踊るときの距離感がとても大事。
アブラッソの深さは、踊る相手によって変わる。
深ければいいわけでも、近ければ正解というわけでもない。

自分が心地よく、相手にとっても無理のない場所。
その距離を自分で選んで踊る。

マザコンかどうかよりも、一緒に踊れるかどうか。
私にとって大切だったのはそこだった。

ウナタレマダムの皆さんはいかがでしょうか?

それではみなさま。

¡Abrazo grande!(あなたに大きな抱擁を。)


[この記事を書いた人]AKANE

タンゴライフアドバイザー・タンゴダンサー・講師

1980年生まれ。日本での会社勤めを経て、35歳で南米アルゼンチン・ブエノスアイレスへタンゴ留学。本場のタンゴから“身体と心のコミュニケーション”の豊かさに魅せられる。

タンゴを通じて「抱擁・リード・呼吸・間(ま)・非言語のやりとり」の哲学に触れ、それを「パートナーとの関係性」「日常の愛情表現」「夫婦の時間」「男女のコミュニケーション」の視点で読み解けないか日々妄想中。

ウナタレでは、アルゼンチンタンゴの抱擁・会話・距離感を通じて学んだ、自分と大切な人との関係を見つめ直す“気づきの時間”をお届けしたいと思っています。

私の好きなブエノスアイレス
https://akanetanguera.com/

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