NEW TOPICS

  1. HOME
  2. ブログ
  3. AKANE
  4. 崩れたら支えればいい。タンゴの街が教えてくれた、想定外を楽しむ「心の即興力」

崩れたら支えればいい。タンゴの街が教えてくれた、想定外を楽しむ「心の即興力」

2026年もすでに2月に入りましたね。

今年の1月に立てた「理想のライフスタイル」の計画。
私もこの街の「想定外」というスパイスに揉まれながら、日々アップデートしていますが、皆さんの今年の計画は順調でしょうか。

今日は、ウナタレの読者の皆さんに、この「予定通りにいかない街」で私が手に入れた、ちょっとした強さについて紹介したいと思います。

ブエノスアイレスで「予定通り」は奇跡に近い

朝、バス停でいくら待ってもバスが来ない。
「9時に行きます」と約束したWi-Fi業者は、お昼を過ぎても現れない。
スーパーでまとめ買いをした日に限って、夏の容赦ない長時間停電が起きる……。

ここブエノスアイレスでは、物事が時間通り・予定通りに進まないのは「特別なこと」ではありません。むしろ、それが通常運行。

日本にいた頃の私なら、予定が5分狂うだけでソワソワし、段取り通りに動けない自分に落ち込んで、一日が台無しになった気分になっていました。
「朝の大切なお通じよりも、1本早い電車に乗ること」を優先していた、あの頃の私には想像もできない毎日です。

待ち合わせ相手から「En camino(向かっているよ)」とメッセージが来たら、十中八九、まだ家を出てさえいない。それがこの街の現実です。

誰も怒らない、この街の「前提条件」

でも、不思議なことがあります。
これほどまでに予定が崩れ去っているのに、街の人たちはさほど怒っていないのです。

バスが来なければ、ため息をつきながらも静かに待ち続ける。誰も怒り狂ったりはしません。

レストランで料理が遅くても、店員さんに詰め寄る人はいない。むしろ、少しでも早く気づいてもらえるように、店員さんの機嫌をとる。

彼らはよく知っているのです。「急かしたところで、世界は早くならない」と。

物事が思い通りにいかないのは、ここでは当然。
だから、いちいち世界に失望しない。
政治やサッカーには熱烈に怒るアルゼンチン人ですが、目の前の「待ち時間」に感情を振り回されることはありません。

彼らは、自分がコントロールできないことに対して、無駄なエネルギーを使いません。

「奪われた時間」なんて、どこにもない

Wi-Fi業者が来ないせいで一日が潰れそうな時、大切なのはその「ポッカリ空いた時間」をどう過ごすか。

「待たされている時間」を「奪われた時間」だと思ってしまうと、心はイライラで支配されます。でも、事実は違います。時間は奪われてなどいない。今、この瞬間も自分の手の中にあります。その時間を、怒って過ごすのか、それとも楽しんで過ごすのか。

バスが来ないなら、お気に入りの曲を聴いて気分をあげる。
業者が来ないなら、友達を家に呼んでおしゃべりする。
停電になったら、キャンドルを灯してワインを飲んで寝てしまう。

コントロールできない外部の状況に振り回されるのではなく、その状況下で「自分がどうしたいか」を主体的に選ぶ。これこそが、ブエノスアイレスが私に教えてくれた日々を楽しむサバイバル術でした。

タンゴのように、崩れたら支えればいい

この感覚は、私が愛してやまないアルゼンチンタンゴの踊りそのものでもあります。

即興で踊るタンゴでは、ステップが噛み合わなかったり、相手がバランスを崩したりすることはよくあること。そんな時、相手を責めたり「失敗した」と踊りを止めてしまう人はいません。

こちらが静かに、相手をそっと支えながら、その瞬間の「心地よいポジション」をまた探し直す。

音楽が流れ続けている限り、そのリカバリーの動きさえも、一つの自然で美しい調和へと変わっていくのです。

失敗やトラブルは、生きていれば必ず起こるもの。
それをどう受け止め、どう対応していくか。

ピンチをチャンスに変える瞬間は、ビジネスでも踊りでも、最高にワクワクする素敵なクリエイティブの時間なのだと、今の私なら思えるのです。

「なるようになる」の本当の意味

ブエノスアイレスで「なるようになるさ」と言ったら
その言葉は、ただの諦めではありません。

「なるようになる、のではなく、なるように自分で“どうにかする”」という、自分への信頼です。

予定通りに進むことが「正解」で、段取りよくできることが「優秀」だった日本での価値観。それを手放した先に見えたのは、「予定が崩れても、自分は崩さない」という強さでした。

世界はコントロールできない。
けれど、自分の態度はいつだって選べる。

今日もバス停で、私はお気に入りの曲を口ずさみながら、来ないバスを待つ時間を楽しみたいと思います。

それではみなさま。

¡Abrazo grande!(あなたに大きな抱擁を。)


[この記事を書いた人]AKANE

タンゴライフアドバイザー・タンゴダンサー・講師

1980年生まれ。日本での会社勤めを経て、35歳で南米アルゼンチン・ブエノスアイレスへタンゴ留学。本場のタンゴから“身体と心のコミュニケーション”の豊かさに魅せられる。

タンゴを通じて「抱擁・リード・呼吸・間(ま)・非言語のやりとり」の哲学に触れ、それを「パートナーとの関係性」「日常の愛情表現」「夫婦の時間」「男女のコミュニケーション」の視点で読み解けないか日々妄想中。

ウナタレでは、アルゼンチンタンゴの抱擁・会話・距離感を通じて学んだ、自分と大切な人との関係を見つめ直す“気づきの時間”をお届けしたいと思っています。

私の好きなブエノスアイレス
https://akanetanguera.com/

関連記事

人気記事ランキング