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実家の家じまい

両親が他界して誰も住まなくなった実家の問題に直面する人は多いと思います。いずれは誰もが経験するであろう実家問題。私は母の家を2度畳みました。それはもう死ぬかと思うくらい大変でした。

1度目は母がまだ元気な70歳頃。ある日突然電話がかかってきて「マンションを売っちゃった」と言われたのです。実家は練馬の3LDKのマンションだったけど、何でも溜め込む母の山のような荷物でいっぱいでした。

なにしろ売ってしまったので引き渡しの期限があります。私の家は横浜で当時はフルタイムで働いていたので、土日の度にクルマを飛ばして実家へ行き、山ほどゴミを捨てるということを何週間も続けてヘトヘトになりました。

私には2歳年下の妹がいますが、夫の実家の家業を継ぐために京都に引っ越していて、口は出すけど手は出さないという感じで何の役にも立たず。結局私が全部やらなくてはならなかった。きょうだいなんて当てにならないわよねえ。今思い出しても疲れるわ、ふぅ…。

2度目は母が亡くなった時。前よりはコンパクトになっていたけど、とはいえ家を畳むのは大変なこと。母は食道がんで入院していたのですが、容体が安定した時に自宅療養に切り替えるように言われ、うちに住むために母の住まいを引き払う手配をしていました。ところが、容体が急変して私の家に来ることなく亡くなったのです。そしてなんと、お通夜と業者が来る日が重なっちゃった。

荷物は運び出してもらうだけだから簡単だと思っていたし、うちとの距離はクルマで5〜6分だから何とかなると思ったけど、妹は手伝ってくれないし私が1人でバタバタすることになって、それはそれは大変でした。母は財産を持っていなかったので、事務手続きなどは大したことはなかったけど。

翻って、今は私が実家です。私が死んだ時のことを考えると、ここを畳むのは結構大変だと思うわ。私にはお宝でも娘たちにはどうでもいいようなものしかないから。リビングに置いてあるアフリカのドゴン族の梯子なんか、絶対に欲しがらないからねえ。アンティークのヴァセリンガラスのランプもランプスタンドも結構高価なものなんだけど、要らないだろうな。

なんて思うと、事前に友だちに分けてしまった方がいいという気がします。器も着物も欲しいという人はいるから、ある段階で全部分けてしまうのも悪くないね。でも、それは自分の死期がわかっていたらの話で、突然死んじゃったら何も分けられない。そうか、譲る相手のリストを作っておけばいいのか。分けるものだけリストアップしておいて、あとは全部処分してよろしい、としておけばいいんだわ。

引越し依頼、ずっと手をつけられずにいたものが段ボール2箱分あるのよ。捨てられるものは捨てておかないと恨まれちゃうから、今度の休みには気合を入れて断捨離しようっと。

やまざきゆりこ


[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ

娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。

墨絵&日本画 梨水
http://risui-sumie.sakura.ne.jp/wp/

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