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令和を生きる、勘違いおじさん。(絶滅危惧種となる日はまだ遠いようだ)

「男女平等」とか「女性の社会進出」とか、世間は流行語のように口にするけれど、私たちはまだまだ「勘違いおじさん」の愚行を耐え忍ぶシーンが日常に潜みまくっている。セクハラ、モラハラ、パワハラ、ルッキズム、、、彼らは悪気なく私たちの心に要らぬダメージを与えてくる厄介な生き物だ。ちなみに、ここでいう「勘違いおじさん」とは、年齢の定義はないが言動があからさまに「古い価値観」に基づいている人たちのことを指している。

少し前に、アウト発言を連発してくる「勘違いおじさん」について、キーボードをいつも以上に力強くたたきながら、書いた。

この出来事に対して感じた違和感を言葉に残すことで、憤る気持ちを成仏させたかった。そして、世の女の子たちに「もっと怒っていいんだよ」と伝えたかった。それが出来ないなら私のnoteで代わりに発散してもらえれば。
思ってた以上に「いるいる、こういう人」という反応が多く、成仏どころかある意味絶望した。やっぱ、いるよね..。

そんな矢先、またしてもモンスターに遭遇してしまった!

知っている人も多いかもしれないが、私は仕事で、日本のルッキズムを問題提起する発信活動を行っている。それは、セルフラブをテーマとしたkelluna.というブランドの運営、著書「そのカワ」、コラム「ルッキズム一人語り」「しゃべるっきずむ!」などを通して行っているが、ここ数年は講演活動も多く、モンスターとの出来事は講演の場で起きた。

「勘違いおじさん」に遭遇するたびに、謎の正義感と共に、社会のお掃除と思いながら一人一人対処(話し合い)をしてきたつもり。けれど、この作業はエンドレスで、次から次へと出てくる。一人いたら、その周りにはたくさんいる感じ…そう、それは、まるでGのように…。

さて、今回の相手は仮名「G」でいこう。

Gと出会ったのは約10年前。学会の関係で出会った。
そこからSNSでの繋がりはあったものの、この10年は1度も会っていない。だからこそ、講演会に呼んでくれた時は、単純に私の近年の活動を評価してくれたものと感じて嬉しかった。

けれど、実際に講演現場に赴くと、「ルッキズムね〜。僕は美人が大好きだし、ルッキズムな発言もいっぱいするし。目上の人に容姿いじりされたら嬉しい。あ、きみの本はちゃんと読んだよ、かろうじて10ページくらい笑。」というテンションだった。そして、なんとなくその場にいた年齢層や性別の偏りから察した。「30代の女性を登壇者に呼べる自分」というマウントを周りにとりたくて私を呼んだだけなのかもしれないな、と。

けれど、これは絶好のチャンスである。なぜなら、こういう人たちにこそ、ルッキズムやセクハラ発言の闇を理解してもらうことが私の使命だとすら思っているから。講演に一層気合いが入った。

講演後、多くの方から「ルッキズムについて考えるきっかけになった」「実は自分が呪いをかける発言を過去にしていたかもしれないと思った」など嬉しい言葉をいただけて、内心ガッツポーズ。

けど、このガッツポーズはどうやら早すぎたようで、数分後には中指突き立てサインに(脳内でね?)。

Gは、「締めの挨拶」を担当。その際、「前川さんの著書もこの後販売します。ぜひ、本のXXページを見てください」と発言した。

指定のページに私は何を書いていただろうか、というかGは結局そこまで読み進めてくれていたんだ…と素直に喜んだ私の純朴な心は瞬殺された。

「そこには、前川さんのビキニショットが載っていますからぁ!笑」

大学時代、私は拒食の果てまで追い込まれた結果、今より20kg近く痩せていた時期がある。どれくらいまで痩せたのかを読者に伝えるために使った写真だ。決してグラビア的な役割でもないし、ただでさえ面白くない発言なのに、さらにはルッキズムに関する講演の直後。それを100人近くの前で言われ、ただでさえ私は眼力強めなのにいつもの2倍は見開いていたと思う。

幸い、書籍をその場で購入してくださった方々は、全くそこに引っ張られず、シンプルに講演内容に興味をもってくれた方ばかりだった。決して私のプレゼンテーションの力不足というわけではない..はず(と思いたい)。
けど、できればGにも、ルッキズム的発言がなぜアウトなのかもっとわかってもらいたかった。そのためには自分がもっともっと頑張る必要が…なんて真面目な私は思い悩みながら帰路についた。

帰宅後、当日の写真をGは送ってくれた。
そして、返信する間もなくすぐにメッセージもきた。

「写真を見て思った、ゆうなってさ、足むちむちしてるよねww」

待て待て待て。
ルッキズムの権化みたいなメッセージ送ってくるね?
いつもbot並な即レスに定評のある私もフリーズ。

続いてもう1通。
「ルッキズムな僕です。だけどさ、僕とゆうなの信頼関係で許してちょ!!w」

確かに容姿についての発言は、「信頼関係」やTPOで変わってくる。ルッキズムに乗っかって、「何も発言するな」はまた違う。けれど、まず私とGは10年以上会っていない、そもそも初めて名前で呼ばれた、10年前も会ったのは学会関係で数時間のみ…。信頼関係なんて全くない。本当に全く面白くないんだけど、なんでメッセージの文末に草はやしてんの??こちらは口角限界まで下がってます。

前回同様、勘違いおじさんって、「面白い」と思った言動が、面白くない通り越してアウト、ということが多すぎる。

確かに、私の足はムチムチかもしれない。けど、私はそれを気に入っている。けど、それをわざわざ相手に言語化して伝えるのは別の話。仮に私が、自分の足がコンプレックスだったら、危険なダイエットのトリガーにだってなりかねない。だから安直に人の容姿についてコメントをするのは、呪いになりかねない。そういう話を私はしに行ったのだが….。

ここで終わらない、だって「勘違いおじさん」たちはメンタルが強い。
またさらに別の講演依頼が数分後にきた。私の予定の有無も聞かずに。

一瞬、もう一回挑むことで、今度こそGが言動を変えるように働きかけたいと漲った。けど、この悶々とした状態では難しいゆえ、一旦今回違和感を感じたことを優しい言葉で伝えてみた。伝えられる人が伝えてあげないと、きっと傷つく女の子がこの先も増える。

そのメッセージは、いいね!のマークだけつけられ、次の講演依頼の詳細が図太く送られてきた。

0.0001秒でブロック!

真剣にスマブラしてる時以上に親指がスピーディに動いた。
こういう人は、100回講演してもきっと分かり合えない。
ならば、そんな時は、自分の心を守ることを優先だ。

そして、仲良しと思(い込んでい)た知り合いが突然そっけなくなったあなた…
令和の「勘違いおじさん」になっているのかも….。


[この記事を書いた人]前川裕奈

1989年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。三井不動産に勤務後、早稲田大学大学院にて国際関係学の修士号を取得。その後、 独立行政法人JICAでの仕事を通してスリランカに出会う。後に外務省の専門調査員としてスリランカに駐在。2019年8月にセルフラブをテーマとした、フィットネスウェアブランド「kelluna.」を起業し代表に就任。ブランドを通して、日本のルッキズム問題を発信。現在は、日本とスリランカを行き来しながらkelluna.を運営するほか、「ジェンダー」「ルッキズム」などについて企業や学校などで講演を行う。著書に『そのカワイイは誰のため? ルッキズムをやっつけたくてスリランカで起業した話』(イカロス出版)。

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