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タンゴの抱擁が私の人生を変えた話

“気づけばあの頃の私は、誰かにぎゅっと大切に抱きしめられる感覚を、ずいぶん長いあいだ忘れていたのかもしれない。”

はじめまして。ウナタレ読者のみなさま。

南米アルゼンチン・ブエノスアイレス在住の、タンゴライフアドバイザーAKANEと申します。

突然ですが、みなさんは最近ハグはしましたか?

恋人、夫、友人、子ども、親。ハグにもいろんな形がありますが、最後にぎゅっと抱きしめた(抱きしめられた)のはいつだったでしょう。

私の暮らすアルゼンチンでは、挨拶にハグやベソ(頬と頬を合わせてするキス)が欠かせません。つまり、毎日誰かとハグする文化。

そしてその延長線上に、私が踊るタンゴの「アブラッソ(抱擁)」があります。

30歳を過ぎてタンゴを始め、35歳で大手IT企業を辞めて単身アルゼンチンに渡り、そのまま住みついてしまった私。

気がつけば“地球の反対側で暮らすほどにタンゴに魅せられた”わけですが、今日はその中でも、アブラッソがウナタレ世代の心にとっていかに良きものかをお伝えしたいと思います。

私の「はじめてのアブラッソ」

仕事は面白い。でも、どこか虚しい。

責任ある仕事を任されるようになって嬉しかった半面、毎日がむしゃらに働くうちに、大切な何かを置き去りにしている気がしていた頃でした。

そんなときに出会ったのが、タンゴのアブラッソ。

あのとろけるような温かさは、今でも身体の奥に残っています。

タンゴを始めたきっかけは、昔観た映画。

思い切って30代でレッスンを受けはじめ、初めて体験したアブラッソで衝撃を受けました。

「近っ…!」

息づかい、鼓動、体温までも伝わる距離。

“恋人でもないのにここまで近くて大丈夫…?”と思うのは、日本人あるあるだと思います。もちろん私もその一人でした。

最初の頃の私は、相手の体温や汗ばんだ肌を感じるのさえ苦手で、心の中では「ちょっと無理かも!」と叫んでいました。

抱擁があたりまえの国で見つけたもの

アルゼンチンでは、子どもから大人まで、誰もが自然にアブラッソします。

5歳の息子ですら友達と「また明日ね!」と言いながら抱きしめ合うほど。

留学したばかりの頃はまだ心理的なハードルがあって、目をつぶって“えいや!”と挨拶しましたが、そのアブラッソがまた優しくて柔らかくて、拍子抜けするくらい心地よかった。

毎日アブラッソされることで、

「いいよ、そのままで」

と肯定されているような気がしたんです。

気づくと私も相手の体温を自然に受け入れられるようになり、心の鎧が少しずつ外れていきました。

相手から受け入れられる喜びを知ると、今度は私自身が相手を包み込めるようになる。

そして、いろんな考え方・生き方があってそれでいいと思えるようになる。

とてもシンプルで、とても温かい“つながり”の感覚。

相手を受け入れることで、自分のことも受け入れられるようになった。

そこから良い循環が続いていきました。

だからね、抱擁って本当にすごいんです。

アブラッソは心の薬箱

「タンゴを始めるのはちょっと勇気がいる…」

という人は、まずは身近な人と10秒のアブラッソから始めてみてください。

しかもアブラッソには科学的な効果もあります。

抱擁することで、

・愛情ホルモン オキシトシン
・心を安定させる セロトニン
・幸福感を生む エンドルフィン

が分泌され、ストレスホルモンのコルチゾールは減少します。

つまりただのスキンシップじゃなくて、

“心の薬箱”のようなもの。

しかも副作用なし。最強です。

「最近ちょっと不調…」

「イライラが取れない…」

そんなときは、ぜひ10秒のアブラッソを。

相手は家族、恋人、友達、ペット、ぬいぐるみでもOK。

大切なのは、

心がそこにあると感じられること。

そして、心がゆるむこと。

多感なウナタレ世代だからこそ、アブラッソは本当におすすめです。

タンゴは“人生そのもの“

ブエノスアイレスのタンゴは、観光向けショーとはまったく違い、静かで深くて、抱擁の心地よさが魅力。

だからこそ世界中でハマる人が続出しています。

そして面白いのは、80歳を過ぎても踊り続ける人がたくさんいること。

40代、50代、60代から始める人も多い踊りです。

タンゴの世界に身を置くと、誰もが必ず “タンゴって人生そのもの” という境地に辿り着きます。

私も、タンゴを通してパートナー関係、夫婦の時間、愛情表現、コミュニケーション…

そんな“人生の最適解”を日々考えるようになりました。

これからウナタレ読者のみなさまにも、タンゴから得た気づきをたくさんお届けできたら嬉しいです。

それではみなさま。

¡Abrazo grande!(あなたに大きな抱擁を。)


[この記事を書いた人]AKANE

タンゴライフアドバイザー・タンゴダンサー・講師

1980年生まれ。日本での会社勤めを経て、35歳で南米アルゼンチン・ブエノスアイレスへタンゴ留学。本場のタンゴから“身体と心のコミュニケーション”の豊かさに魅せられる。

タンゴを通じて「抱擁・リード・呼吸・間(ま)・非言語のやりとり」の哲学に触れ、それを「パートナーとの関係性」「日常の愛情表現」「夫婦の時間」「男女のコミュニケーション」の視点で読み解けないか日々妄想中。

ウナタレでは、アルゼンチンタンゴの抱擁・会話・距離感を通じて学んだ、自分と大切な人との関係を見つめ直す“気づきの時間”をお届けしたいと思っています。

私の好きなブエノスアイレス
https://akanetanguera.com/

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