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癌になっても人生のハンドルを握るのは自分

10⽉はピンクリボン月間。
ウナタレ世代にとても身近な乳がんについて毎週1本、コラムを繋げていきたいと思います。自分や大切な仲間が、これからも自分らしく笑顔で暮らせるように。
10月ラストの回は、ウナタレ編集長近藤洋子が、古屋サマンサさんに「癌になっても自分がどう生きたいか」をインタビューした模様をお届けします。

「えーっと、私、いつ癌になったんだっけ?ちょっと待ってね、今、メモを見ながら思い出しているから。」

「いつ、美容院に行ったんだっけ?」くらいのテンションで、この日、サマンサさんは、自身の乳がんの体験を回顧しながら話してくれた。

「もうね〜、忘れちゃってるのよ。ギャハハハー」とトレードマークの真っ赤な口紅を纏った色っぽい口を大きく開けて笑う。

手元のメモ帳によると、サマンサさんが胸の異変に気づいたのは、2019年4月2日。元々、胸にしこりのようなものが出来やすい体質で、その日の朝、何気なく触った胸に今までとは明らかに違う感触のしこりを感じたのだとか。

「左の脇あたりにね、パチンコ玉が入っているようなカチカチの異物があったの。触ってすぐに、あ、これ、癌だって分かった。でも、そろそろ癌になるんだろうなーと思ってたからそんなには驚かなかったわ。」

すぐに病院の予約をとり自宅近くで診察を受けたのが、4月6日。その後、いくつかの検査を経て、サマンサさんの乳がんは、ステージ1のルミナルA型、進行は遅いタイプで、5月に部分切除手術、その後に放射線、という治療方針が下されたそう。

初期段階での発見であったということはあるものの、「癌」と聞くと、文字通り、「ガーーン!!」と気分が落ち込む、と思いきや、そこは、肝が据わっているというか達観しているというか、さすが、心理カウンセラーのサマンサである。

「癌」が怖いんじゃない、自分らしく生きれるかどうかが一番大事

「ある日の精密検査の後、病院を出たら雲ひとつない青空だったの。満開の桜の下でたくさんの人がお花見を楽しんでいる光景を見ながら、自分は病人でしょ。なんか当たり前の日常が別世界のように見えてね。」

私にもそんな体験があったな。ウナタレともなると人生の「まさか」がたくさんある。当たり前と思っていた日常が突然、モノクロに映るような出来事が・・・と思っていたら、サマンサさんがこう続けた。

「でもね、私くらいのステージの乳がんじゃそうそう死なないじゃない。それより、怖かったのは、乳がんになって自分らしく生きれるかどうか、ってことだったわ」と。

・・・自分らしく。それはどんなことなのか?

「そうね、例えば、抗癌剤使って髪の毛がなくなるんじゃないか、とか、胸の形が変わったら嫌だなーとか。今、大切にしていることを手放さなきゃいけないのか、とか。生きるか死ぬかよりも私は、心も体も自分の心地よい状態で生き続けることができるのかどうか?ってことの方がずっと大事だったの。」

・・・なるほど。以前、このウナタレで「子宮摘出orSEXのQOL ウナタレ世代の選択」というコラムをリリースした際に実にたくさんのウナタレマダムたちから共感のメッセージをいただいたのを思い出した。

決して、命を軽視するということではなく。でも、「命さえ助かればいい」と言ったらそんなことはない。私たちの人生はその先も続くのだから。自分らしくどう生きるか、生きられるか、というQOL。

「その時ね、あまりにも日差しが強いもんだから、私、慌てて木陰に入って日焼け止めを塗ったの。乳がんでこれからどうなるか分からないのに、それより紫外線が気になるなんて。なんか、自分で笑っちゃったー。」

サマンサさんのその表情は春の日差しより眩しく見えた。いや、画面越しじゃなかったら私、アナタを抱きしめてたわ、マジで。

「癌」になったらやるべき3つの心の整理

さて、その後、サマンサさんの手術はとんとん拍子にいったか?と言ったら、そうは問屋が卸さない。

乳がんになって何に憤りを感じたか?というと「自分に合った主治医を自由に選ぶことができない日本の医療制度」だったそう。

最初に行った病院では、確かに乳がんの名医だったそうだが、彼女が本当に知りたかった「術後のおっぱいのカタチ」や「そもそもどんな食生活にしたら良いのか」などの問いには納得のいくようには応えてくれなかったそう。

そんな中、紆余曲折ありながら、友人に紹介してもらったナグモクリニックで彼女は理想の医師と出会うことになる。バストの美容から健康、機能、乳がんまで様々な悩みに応えるバストのスペシャリスト。患者さんの心に寄り添い、治療だけではなく胸の美しさも重要視してくれ、食生活などについても丁寧に教えてくれたことで、彼女はその治療方針に心から納得したそうだ。

結果、ナグモクリニックの南雲先生に全幅の信頼を抱き、診断されてから半年後に部分切除手術を行った。脇の下にちょこっと傷が残るくらいで全く胸の形も全く変わらなかった、と。その写真も見せてくれた。

ここまでインタビューして思った。私たちは「癌」という得体の知れない存在に勝手に恐怖心を抱いていたのかもしれないんだということ。

癌=怖いもの、というセルフイメージだけで必要以上に不安になったり、落ち込んだり。

いや、これって癌だけじゃない。よく分からないものに対して私たちは、案外、本質を見ずに右往左往していることが多いんじゃないだろうか。

だとしたら、もし、これから癌になった場合・・・いや、癌だけじゃなく、私たちはどんな風に正体がはっきりしない存在に対して向き合えばいいのかをサマンサさんに聞いてみた。

1.冷静に現実を見る

感情を切り離して事実を見て。不安になるのは仕方がない。でも、自分の癌はどういうステージやタイプ、グレードなのかをまずは冷静にそして客観的に見ましょう。

2.「先案じ」をしない

まだ起きてない未来について一喜一憂しない。それは脳が作り出した不幸な妄想なのだから。

3.ネガティブな情報集めをしない

わざわざネガティブになるような検索をして自分を不安がらせるのはやめましょう。

そして、最後にこう付け加えてくれた。

「とにかく、自分がどう生きたいか?これが大事。そして、それに合うお医者さんや治療方法を自分で選ぶ。悔いが残らないようにね。」

乳がんは人生の生き方を改めて教えてくれた。10年前の自分だったら、納得いかないまま最初の医師に言われた通りの治療をしていたはず。自分がどう生きたいか?何を大切にしているかが明確になっていたからこそ、後悔のない選択ができたと思うの。」

ウナタレともなると人生の「まさか」はこの先もきっと大なり小なり起こるだろう。大事なのは、その時に、自分の気持ちを置き去りにして他人に任せるんじゃなく、自分自身ででハンドリングできるかどうかだ。

サマンサさんの乳がん体験談から、人生で1番大事なことをリマインドしてもらった。ウナタレの私たちに残された人生の時間がどれくらいかは誰にも分からない。でも、自分でハンドルを握って人生を運転できることこそ幸せに生きられる鍵なのだろう。

[お話を伺った人]古屋サマンサさん

心理学セミナー講師・心理カウンセラー。 1968年生まれ。40代半ばに発達障がい児の子育てに疲弊し夫婦関係も破綻の危機に…その時に学んだ心理学などを生かし全国で講座や個人セッションを展開。受講者数は10年で延べ千人以上。

1.ブログ https://ameblo.jp/samantha-kyoko/

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3.インスタ https://instagram.com/samantha_kyoko?igshid=NTc4MTIwNjQ2YQ==

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