ペットを飼う資格
次女の家には16歳から3歳まで4人の子どもと、11歳の猫チャムと2歳の犬オリバーがいます。今は家を買い替えるために仮住まいをしている最中なのですが、その家は犬と猫の両方はダメということで、仮住まいの間だけ猫のチャムを預かることになりました。それが昨年11月の終わりのこと。
最初はぎこちなかったチャムとの関係も、今ではお互いにすっかり打ち解けていい感じに。私は小学校高学年の時以来、猫とここまで親密に暮らしたことはなかったので、「ああ、猫ってこんな生き物だった」と何十年かぶりに思い出しています。気難しいチャムもすっかり心を許して、今ではゴロゴロ喉を鳴らしながら布団の中に入ってくるまでになりました。こうなると可愛いね。
そこへある日娘から連絡が来て、「温泉旅行に行くから1泊だけオリバーを預かって」と言われました。いつかコラムで、「年齢が理由で諦めた、ただ1つのこと」として書いたペットとの暮らしでしたが、いきなり犬と猫両方がいる暮らしを体験することに。なんか、嬉しいような、困ったような。
というのも、オリバーはトイレがちゃんとできないのです。部屋で粗相してしまうのが嫌で、娘はオリバーをほぼ1日ケージの中に入れているらしい。でも、うちに来たからには犬らしい生活をさせてあげたいと思って、ずっと部屋に放していたのです。オリバーはミニチュアピンシャーとチワワのミックス犬で、とても活発な子です。遊ぶのが大好きで甘えるのも大好き。おもちゃがなかったのでボール状のものを作って遊んであげたら、いくらでも遊びたがる。性格が明るくてなかなかいい子です。
でも確かに粗相をする。というか、お散歩でさせればいいと思ってトイレを用意していなかった私が悪いんだけど、目を離した隙に窓際でオシッコとウンチをしちゃった。しかも、足を上げてするからカーテンにかかって慌てて洗濯することに。夜になってまた同じ場所でしちゃって、洗ったばかりのカーテンをまた洗う羽目になりました。
しかし、です。オリバーはそこをトイレと決めて、同じ場所でしていた。足を上げてするのは困ったものだけど、それなりの対策をすれば決まった場所でできる子です。娘は猫を飼うのと同じ感覚で犬も飼ったと思うけど、犬は放っておけばバカ犬になる。躾が必要です。いい子になるのもバカ犬になるのも飼い主次第。それができない人は犬を飼う資格はないのです。
次女の家には3歳、4歳の男の子がいて、働きながらその子たちの面倒を見るだけでも忙しい。その上、小学5年生の男の子のサッカーもあって犬の躾にまで手が回りません。アレックスがいい子だったから、自然とあんなふうになると思っていたのかもしれないけど、私が躾をしたから分別のある犬になったのよ。ちゃんと左に着いてお散歩することも、「止まれ」ができることも、トレーニングをしたから。
散々遊んだ後に私の膝の上で丸くなって寝ているオリバーを見ていたら不憫で仕方なくなって、この子を救出しなくてはという気持ちになりました。次女はオリバーを持て余しているので、冗談半分で「あげるよ」なんて言う。こうやって上手に飼えもしないくせに飼っちゃって、捨てられる犬や猫がどれだけいることか。
犬と猫の両方を飼ってみて思うのは、猫は楽。本当に手がかからない。でも犬はそういうわけにはいきません。朝夕のお散歩があるし、人間や他の犬たちと上手く付き合えるように訓練する必要があります。小型犬は何かあったら抱えてしまえばいいと思って、お散歩の時に飼い主の前を自由に歩かせる人が多いけど、本当はそれはダメだよね。飼い主が主導権を握っていることをわかっていないと、いざという時に困るよね。
今の生活リズムでオリバーを引き取れるだろうか。どうやったらこの子を引き取ることができるだろうか。ペットを諦めていた私がこんな悩みを持つようになるなんて、まったく何が起きるかわからないね。
[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ
娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。
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