NEW TOPICS

  1. HOME
  2. ブログ
  3. COLUMN
  4. ウナタレお悩み相談室(2)〜元サヤに戻る、はアリ?ナシ?〜

ウナタレお悩み相談室(2)〜元サヤに戻る、はアリ?ナシ?〜

ご相談:

26歳独身のN子です。新卒で化粧品関連会社に入社して4年目、広報を担当しています。新作のリリース時など残業も多く忙しい部署ですが、やりがいのある仕事に毎日頑張っています。入社2年目の時、大学時代からお付き合いしていた彼と別れて以降、お付き合いしている人はいません。最近、その元カレと再会し、結婚を前提にもう一度付き合えないかと言われて悩んでいます。

私も彼が好きだという気持ちはありますが、転勤の可能性のある人との結婚は正直考えにくいというのが本音です。今の会社でキャリアを積んでからでないと、結婚もまだ考えられません。どうしたらいいでしょうか。

回答:

化粧品会社の広報のN子さん。その仕事のとおり美しく手入れされた肌と、新作のリップがとっても可愛くて、でも仕事が楽しいという女性らしくキリッとした目元が印象的です。広報のスタッフとしての頑張りも目に見えます。ウナタレの我々に臆せずご相談いただけるのですもの、きっと会社でも先輩たちにしっかり頼りにされ、また上手に頼りにもしているのだと感じます。

N子さんは私の息子の妻と同じ歳ごろです。それから私には娘もいます。つまり私はN子さんのお母さんの立場としても、姑の立場としても、一緒にお悩みを考えられるというわけです。いろんな立場からご回答してみようと思います。

ご相談を伺っていると、問題はふたつあるかなと感じます。元カレとやり直すかどうか、というパートナー選びの問題。

まずひとつめの問題、元カレ。どうしましょうね。まだ好きという気持ちがあるとのこと。N子さんがそう思うのですから、彼にも素敵なところがいっぱいある人なんだと想像します。別れてしまった理由が、その時お互い仕事に忙殺していてすれ違ってしまったから、ということですが、学生時代からのお付き合いで、お互いに環境が変わったりするとそういう問題には必ず直面します。きっとその時もその問題をお互いに解決するほどエネルギーがなかったということもあるでしょう。単にもう面倒になったということかもしれません。私の過去の失敗などなどから思い返すに、正直そういうすり合わせすらメンドくさくて、どっか行ってほしいと喧嘩になった末、いなくなってせいせいしたわ、とか思った記憶もあります。ひどいですね。おかげで思う存分仕事ができたりもします。それはそれで正解の選択肢です。

一方で、少し時間が経ってきて周りを見る余裕が出てきたタイミングで、やっぱりあの人が一番だったかなと思い返したりすることもあります。きっと元カレくんもそうだったのでしょう。N子さん以上の人なんていなかったなと思ったわけですね。だからこそ、今度は結婚したいと思っちゃった。それに、さあ、N子さんは何て答えるのかということです。

基本的に元サヤというのを、正直これまで私自身は良しとしておりませんでした。だって、一回別れたってことは、ダメだった理由があるわけで。元に戻ったら結局同じことになるんじゃないかなと。

ただ、最近私はこの考え方を改めました。Amazon primeで配信されている『ラブ・トランジット』という番組を見てからです。男女5人ずつ、全員が元カップルで参加するという異色のリアリティーショーです。誰が誰の恋人だったかは最初明かすことを禁じられて、10人が1ヶ月一緒に暮らしながら、元サヤなのか、新しい恋に進むのかを考えていく内容です。

最初は私も、いや〜元彼とかないわ〜と思いつつ見ていたわけですが、彼ら彼女たちの別れてからの時間が、お互いを変えていた、もっといえば社会の中で成長していた姿を見て、当時は問題になっていたことが解消できるかもしれない、という気持ちに変化してしました。

それに、元恋人が目の前で他の人と新しい恋を始めようとする姿を見て、自分のそれまでに反省してみたり、逆に反省できずに突進しちゃったりと目が離せません。こうしたリアリティショーは演出がどこまで入っているかを考えてしまうわけですが、少なくとも目の前で悩んで考え続ける20代の人たちをみて、ウナタレ世代の私も、今更ながら考え直したりもするわけです、あれ、元サヤも悪くないかもと。

いやいや、こんなことをリアルに私が口にしたら、過去の男性たちが蜘蛛の子を散らすがごとく一目散に後ろも振り向かず四方八方に走り去ることは目に見えています。結果ポツンと一人残される私を想像すると、やっぱ過去は過去かとか思ったりもします。別れる時に綺麗さっぱりだといいのですが、それはそれは、切った貼った(ってなんだ)の殺陣のごとくやっておりますので、それでスッキリしているというのはありますが。

N子さんは別れてまだ2、3年ですよね。しかも新社会人から経験も積んで、お互い成長し、余裕もできた部分はあるかもしれません。この『ラブトランジット』を見てから、自分の過去も振り返ってみてもいいと思います。

ただ、結婚を前提とした場合の元サヤでは、彼の転勤については問題になってくることでしょう。今N子さんが仕事を辞めたくないと思っていることは十分に理解できます。それをしっかりまずは彼に話してみてはどうでしょうか。夫の転勤のために奥さんが着いていく。これがデフォルトだった時代は過ぎ去りました。お互いに相手のキャリアを大事にできる関係が構築できるパートナーシップが結べたら、こんなに心強いことはないですよね。今すぐ答えが出なかったとしても、転勤が決まった時に、もう一度考えてみるのもひとつです。

私は最初に結婚していた時、夫の海外赴任に帯同しませんでした。自分の仕事を優先し、子供と共に日本に残る選択をした経験があります。これが決定的に関係を壊したことにはなったのですが、その決断を私は後悔したことは一度もありません。

どんな選択をしても、その時に自分が自分軸でしっかりと考えつつ、相手の幸せも考えた先には必ず道が拓けているはずです。

ゆっくりできる週末に「ラブトランジット」でもみながら、N子さん自身を見つめてみてくださいね。きっと答えが見つかりますよ。

渋谷ゆう子


[この記事を書いた人]渋谷 ゆう子

香川県出身。大妻女子大学文学部卒。株式会社ノモス代表取締役。音楽プロデューサー。文筆家。クラシック音楽を中心とした音源制作のほか、音響メーカーのコンサルティング、ラジオ出演等を行う。音楽誌オーディオ雑誌に寄稿多数。
プライベートでは離婚歴2回、父親の違う二男一女を育てる年季の入ったシングルマザー。上の二人は成人しているが、小学生の末子もいる現役子育て世代。目下の悩みは“命の母”の辞め時。更年期を生きる友人たちとワインを飲みながらの情報交換が生き甲斐である。
著書に『ウィーン・フィルの哲学〜至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』(NHK出版)がある。

◆コラムの感想やコラムニストへのメッセージはウナタレ 「友の会」コラムニストの部屋にて。
わかる、わかる!とコラムを読んで共感したあなた、友の会でお待ちしております。
コラムニストの部屋
https://tomonokai.unatale.com/category/columnist/

関連記事