「愛と性」は永遠のテーマ
40代半ばで気づいてしまった新たな「セクシャリティ」
以前、あるカナダ人の男友だちがいました。彼は日本人の女性と結婚していて、夫婦はお互いを大切に思っていたのですが、チョット面白い関係でした。というのも、結婚して何年か経ったある日、ふたりで映画を見ている時に突然、奥さんは自分がレズビアンであることに気づいたのです。
映画の主人公が同性愛者で、観ているうちに自分のセクシャリティに目覚めたのですね。夫婦が40代半ばの頃のことでした。
それ以来、ふたりはオープンマリッジになりました。つまり、お互いの同意を得た上でほかにパートナーを持つことになったのです。夫にとってはあくまでもセックスパートナー。話を聞くと、まるでスポーツジムに通うような感覚で、面白いなぁと思いました。
妻もはじめは同じような感じでしたが、次第にある女性と真剣な恋愛関係になり、一時は離婚寸前にまでなったとか。最終的には夫婦の愛が深過ぎて別れることはできなかった。ふたりはツインソウルだったのかもしれないですね。
「ポリアモニー」という関係はアリ?
暫くぶりに来た彼からのメールで悲しい知らせを聞きました。妻が50歳目前にして突然の病いで急死したというのです。彼は傷心のままカナダへ帰りました。
この夫婦はレアな例ですが、先日も友だちとの間でポリアモニーが話題になりました。
「ポリアモニーとは、関与する全てのパートナーの同意を得て、複数のパートナーとの間で親密な関係を持つことまたは持ちたいとか願うことを指す」(ウィキペディアより)。
私たちの世代では一夫一妻制が当たり前だと思っていますが、少し前まではお妾さんを持つことが珍しくなかったのだし、愛は必ずしも永遠ではない。一夫一妻制には無理があるような気もします。
もちろんずっと仲が良くて一生添い遂げる夫婦もたくさんいます。SNSで結婚記念日の幸せそうな投稿を見ると、長く一緒にいるなんてすごいなぁと尊敬してしまいます。仲が良くなくても死ぬまで一緒にいる人の方が多いし、そうできれば安心だとも思う。
でもそれだけがすべてではないという話です。結婚は楽しいけど厄介でもあります。ふたりの良好な関係を保つためにほかの人と親密な関係を持つこともアリかもしれません。
私は57歳で離婚しましたが、結婚する時はこの愛は永遠だと信じていました。この愛を失ったら死んでしまうとさえ思っていたのですが、人の気持ちは変化するものです。
あんなに好きだった人がいつかどうでもいい人になってしまう。元夫も同じだったのでしょう。彼には想い人がいたようで、離婚してすぐに再婚しました。
人はいくつになっても恋ができる生きものです。私も夫と別居してからはいくつかの恋愛をしました。たった1人の人と何十年も一緒にいた時は、50代になった自分が再び恋をするなんて想像もしませんでしたが、別居してその呪縛から解放されたら恋に落ちました。
元夫とは40歳くらいからセックスレスで、もうそんな面倒くさいことことしたくもなかったのに、相手が変わるとしたくなることもわかりました。愛と性は永遠のテーマです。
ライター:やまざきゆりこ