明菜の金屏風事件を先週の出来事のように語る友人から得た考察
私たちの「幸福な時間」について考えてみた。
金屏風事件を熱く語るSちゃん
Sちゃんは、私と同い年で古参の明菜ファン。
彼女のクルマに乗せてもらうと、毎回、明菜のライブDVDが流れている。
「このときの明菜、一番輝いていたんだよ・・・」
私は聖子派だったので、明菜の楽曲は知っていても、人物についてそこまで詳しくはない。
「いま、このレベルの歌唱力と表現力を持つアイドルおる?」
「ホンマ、マッチにさえ引っ掛からなければ、今頃は・・・」
マッチ?
ああ、手首切ったときの謝罪会見のこと?
私の中途半端な記憶が、Sちゃんのスイッチを入れてしまったようで、以降、Sちゃんによるマッチ批判が延々続く。いかにマッチと当時のジャニーズ事務所が非道なことをしたか。
(知らない人は「金屏風 明菜」でググりましょう エグいです)
その話って、今朝のワイドショーでやってたやつ?ってくらいの鮮度と熱量。
怒りのエネルギーが凄まじい。マッチ逃げろ。
普通はそこまで昭和の芸能ネタを鮮明に記憶していない。
あの熱量で30年以上前の話を語れるくらい、明菜のことが好きなんだなー
そう思っていた。そのときは。でも違った。
Sちゃんは病気だった。
マイレボリューション
Sちゃん含む同年代友人と4人でカラオケに行ったときのこと。
わたし:渡辺美里の「マイレボリューション」ってみんなが知ってる曲だけど、なんのドラマの主題歌だったかが、思い出せないんだよねー
Sちゃん:セーラー服通りでしょ?(即答)
以降、Sちゃんによるセーラー服通りの解説が続く。
出演者はもちろんのこと、少女漫画雑誌との連動企画であったことまで。
「ああ・・・そうだ・・・」
3人とも記憶が蘇り、膝から崩れ落ちる。
人のかたちをしたwikiがおる。
いらない。まじいらない。
開ける必要のない記憶の引き出しが、人間wikiの手によってバッシンバッシン開かれていく。
やめてくれ。必要ないんだ、その記憶は。
覚えなきゃいけないことは、山ほどあるんだ。
残り少ないメモリを奪わないでくれ。
パイロット養成所について詳しすぎた
普段まったく見ていない朝ドラ「舞い上がれ」の再放送をテレビで流したまま、昼食の準備をしていたら、離れたところにあるテレビからナレーションが聴こえてきた。
「・・・の試験に落ちたら、この養成所を出なくてはならない」
そうだよねー、パイロットの訓練って大変だよねー
試験に落ちたら養成所を出なくちゃならないし、
1度落ちたら、2度とチャンスが巡ってこないもんねー
パスタの茹で加減をチェックしながら、パイロット訓練生たちの苦悩に共感しつつ、ふと気づく。
なんでわたしパイロット養成所について詳しいんだ?
だれか知り合いにいたか?いないよな?
なんだこの記憶。
たぶん古いドラマだ・・・
あ、男闘呼組?
わたし:Sちゃん、男闘呼組のだれかが出ていたパイロット養成所のドラマなんだっけ?
出ていたのだれだっけ?主題歌がスターダストレビューのやつ。(LINEグループで質問)
Sちゃん:あーはいはい、僕の姉貴はパイロットね。男闘呼組全員出てたよ。
成田昭次の姉が浅野温子。あと陣内が出てた。
またいらぬ引き出しを開けてしまった。
Sちゃんは昭和オタクであり、数十年前の記憶をおそろしい鮮度で保持できる能力には
おそらく病名がつくだろう。MRIに入れたい。
くだらないの中にあるもの
どう考えてもくだらない。生産性ゼロにも程がある。
金屏風もセーラー服通りもパイロット養成所も。
ここまで書いてきて思い出した。
星野源の「くだらないの中に」
髪の毛の匂いを嗅ぎあって くさいなあってふざけあったり
くだらないの中に愛が 人は笑うように生きる魔法がないと不便だよな マンガみたいに
日々の恨み 日々の妬み 君が笑えば解決することばかり首筋の匂いがパンのよう すごいなあって讃えあったり
くだらないの中に愛が 人は笑うように生きる
私たちは、普段、あまりにも「目的」を求めすぎている。
私たちって書いちゃったけど、私がそうなんだ。
プライベートな友達と飲みに行くときでさえ、店に向かう道中、考えてしまう。
「相手にとって有意義な話題はなんだろう?」
「お互いに有意義な時間にしなくては」
もはや強迫観念。
「目的ある時間」のほうが「他愛もない話で笑い転げている時間」よりも重要だと思い込んでいる。
でも、違うっぽい。私が間違っていたっぽい。
スーパー銭湯で議論
そんな強迫観念をいまだ持ちつつ、年末に友人たちとスーパー銭湯の食事処でプチ忘年会。
180センチ150キロの巨漢(ただしハイスペック)の彼が、独自の結婚観を語る。
「この人になら全財産奪われてもいい、この人になら殺されても構わない、
と思える相手と結婚したい」
ふんふんと黙って聞いていたんだけど
目の前の彼をまじまじと眺めて気づいてしまった。
そもそも、あなたを殺すことの難易度が高すぎなんだわ。
友人:あ、たしかに!
わたし:ナイフとか到達しないよね?心臓まで
友人:無理っすね
わたし:食事に少しずつ毒を混ぜるとか?(参考:鎌倉殿の13人)
友人:ああー、たぶん途中で耐性ついちゃいますねー
わたし:ビルの屋上から突き落とすのは?
友人:僕、高所恐怖症なんで、そんな危ないところに自ら行かないし、そう簡単に追い込むこともできないでしょうねえー
絶対無理じゃん!
殺される気ないじゃん!
ということで、巨漢の彼をどうやったら殺せるか、年末からずっと考え続けている。
なにかあるはずなんだ、思いつかないだけで。
くだらなくて楽しい時間は尊い。
[この記事を書いた人]さとちゃん(SATO-CHAN)
1973年早生まれ ウェブまわり仕事のフリーランス、ブロガー
オーシャンビューな部屋で猫とふたり暮らし
性格→意地悪
茅ヶ崎カーストについて赤裸々に書きすぎて炎上したブログはこちら
https://ouchigohan.club/chigasaki/3121
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