不倫を終わらせた理由
懐古シリーズ。
初対面の人に聞かれる質問ナンバーワン
「なんで茅ヶ崎に来たんですか?」
私「不倫相手を奪う気満々で、、、」
このやり取りは私の鉄板ネタで、もう何度話したかわからない。
散々、こすりまくってきた。
上の話だけで十分お腹いっぱいなのか?
はたまた気を遣われてるからなのか?
「で?なんで別れたんですか?」
は、ほとんど聞かれたことがない。
なので、今日はそのことについて書く。
聞かれてないけど書く。
そして先に言っておくけれど、今日のコラムにオチはない。
ふと思い出したので、備忘録として残すだけ。
父親が死んだ
彼が私の部屋に泊まるのは、年に1回あるかないかだった。
どんなに遅い時間になっても家に帰る。それが不倫というもの。
その、年に1回あるかないかがその日だった。
しこたま飲んで酔いすぎた彼は、車の代行を呼んで帰るのが面倒になり、泊まっていった。
朝方、彼のスマホの着信音で目覚める。鬼電。彼は爆睡。
たぶん、奥さんからだろうな。お怒りなのだろう。
それにしたって、あまりに間隔あけずに鳴るので、トイレに行くついでに画面を覗いてみた。
「至急連絡ください。おとうさんが、、、」
お。
彼を起こす。
いまスマホの画面見ちゃったんだけど、なんか大変みたい。
すぐに電話したほうがいいかも。
最初は嫁の虚言ではないかと疑っていた彼だったけれど、あちこちに電話をして事実だと知る。
離れて暮らす父親の通夜と葬儀へ向かうため、彼と彼の家族の移動手段の手配と、親戚との電話でのやり取りが始まった。家に帰っている時間がもったいないので、そのまま私の部屋で。
私は傍でコーヒーを淹れてあげた。
驚くことに、コーヒーを淹れるくらいしかやることがなかった。
私、めっちゃ有能なのに。みんな知ってると思うけど、段取らせたらピカイチなのに。
親戚対応も飛行機の手配も、動揺を抑えて対応する彼に代わり、滞りなくスムーズに鮮やかにやってみせるというのに。
この一大事にまったく出番がないという、当たり前すぎる現実に打ちのめされた私は、部屋に居るのが辛くなり、彼を置いて出かけることにした。
「ヨガ教室に行ってきまーす」
私の父親も死んだ
その2ヶ月後、今度は私の父親が死んだ。
特養に入っていたが体調が急変して死んだ。
通夜と葬儀を終えたあと、無性に彼と話がしたかった。
父親に対して思うことがあり、それは墓場まで持って行くつもりの話で、唯一、打ち明けている人が彼だった。
今日、茅ヶ崎に帰るよとLINEしたら、駅まで車で迎えに来てくれた。
聞いてほしい話が山ほどある。なにから話そう。どう話そうか。
「どこにゴハン食べに行く?」
そう聞いたら、今日はどうしても家で食事をしなければならないと言われた。
8年続いた不倫関係の中で、いちばんショックを受けた瞬間だった。
え?帰る?一緒にゴハン食べないで、私の話を聞かないで帰るということ?
え?一体、なにをしに来たの?
プライドの高い私が、あんなにわかりやすく拗ねたことはなかったと思う。
拗ねたというかキレた。
家庭の用事もあって忙しい中、急に「今日帰る」と連絡したにも関わらず、わざわざ駅まで迎えに来てくれた、とは思えなかった。
この年の暮れ、私から告げて関係を終わらせた。
阿川佐和子の晩婚に憧れる理由
「さとちゃんは、阿川佐和子が好きだよねー」
ウナタレ編集長にこの前言われた。
言っておくけど、正確には、阿川佐和子が好きなわけではなく、20代後半で知り合って好きになった男の人と、何十年もの歳月を経て、63歳で結婚した阿川佐和子に憧れているのです。
週刊文春の阿川佐和子のエッセイに書かれていたことは。
「わざわざ籍を入れなくてもよかったのだけれど、母親の付き添いに行ってもらうのに、いちいち病院の人に彼との関係性を伝えるのが面倒だったので籍を入れた」
結婚した理由は、だいたいこんな感じだった。
いいなー
いいないいなー
いいないいないいなー
あまり人を羨むことはないのだけれど、泣けてくるほどに羨ましい。
スーパー上書き保存人間
「女性は上書き保存で、男性は別フォルダを作る」
とは、よく言われる話だけれど、私はその中でも最上級の上書き人間で、別れた相手のことは、次に好きな人ができた途端に忘れる。完全上書き。そんな人、いましたっけ?
脳内メモリがキロバイト単位なのだろう。
歴代の彼氏の名前をフルネームで言えないくらいに、いろいろ憶えていない。
だから、今日書いたこの話もすっかり忘れていたのだけれど、先週、8年におよぶ茅ヶ崎暮らしを終わらせた日に、茅ヶ崎から実家へと向かう電車の中で、ふと思い出して泣けてきた。
電車の中でずーっとしくしく泣いていた。なんでだろう???ホント不思議。怪しい人すぎる。
ぜんぜん哀しくないのに泣けるというのは、やはり生霊なのかな。
お祓いに行かなくては。
以上、最初の予告どおり、オチをつけずに終わります。
備忘録にお付き合いくださりありがとうございました。
でも、私と同じ経験をしたことがある人は、同じような感情を抱いたことがある人は、いまこれを読みながら号泣しているはず。ドーン!!(喪黒福造)
[この記事を書いた人]さとちゃん(SATO-CHAN)
1973年早生まれ ウェブまわり仕事のフリーランス、ブロガー
オーシャンビューな部屋で猫とふたり暮らし
性格→意地悪
茅ヶ崎カーストについて赤裸々に書きすぎて炎上したブログはこちら
https://ouchigohan.club/chigasaki/3121
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