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壮絶ドロンで愛を掴む女の生還記(其の三)

今回も、元TBSアナウンサーの木村郁美さん、そして、結婚相談所ナチュ婚相談所代表でプロの女性マネジメントの川崎貴子さんをお迎えして、ギリギリのところで生き抜いた人だけが知っている「自分を取り戻す術」を、台本なしで語っていただきました。私はいつものように、編集長としてちゃぶ台の端で相づち係です。

前回までのおさらいはこちら

「ドロン」の夜、画鋲で止めたシーツ

郁美さんの語りは、今回も静かに重たくて、でもどこか凛としていました。

「高い建物を見ると“ここから落ちたら”って考えてしまう自分がいた」

そのギリギリを踏みとどまらせたのは、“誠実さ”という名の最後の糸。悪魔、もとい元夫が会社に出た隙に両親を呼び、荷物を車に積んで、ドロン

引っ越し先にはカーテンも冷蔵庫もなく、シーツを画鋲で留め、コートを重ねて寝る。昼は満面の笑みで生放送、夜はズキンとくる片頭痛。脳ドックを巡っても「原因はストレスでしょうね」で終わる、あの手のやつ。聞いているこちらの胸も、キュッと縮みます。

でも、そこで「誠実さ」を捨てなかった人は、次の景色に出会う。

貴子さんは言います。「有名だからこそ誰にも相談できない。だけど、他人から見ると“それ、こうすれば?”で終わることもある」。

二人の自己開示―― “借金3.4億” と “バツ3”

新しい出会いは、ふとした“数合わせ”から。6人で行くはずのご飯が、気づけば現在の夫となる男性と2人に。そこで郁美さんは、最初に切り出します。

借金が3億4千万円ある。子どもを産む余裕もない。今日はその誤解がないように、まず伝えたい

逃げない、隠さない。痛いけど、潔い。すると彼はニコっと返す。

あ、僕、バツ3なんです

ドテッ!・・・昭和のコメディみたいな“相互開示”。空気が一気に軽くなる。

・・・そう、“ちゃんと全部言う”と、人間関係はむしろラクになる

そして彼は「助けたい」と思っても、関係性を守るため、1年半は“ただの食べ仲間”。借金圧縮の助言はするけれど、「僕が手伝ったから付き合う」にならないよう線を引く。

成熟って、こういうことね。

奇跡の“帰還”・・・「諦めない」を信じる人

やがて訪れる、まさかの事態。なんと彼が心肺停止で倒れたのです。医師の説明は厳しい現実を並べ立てる。けれど郁美さんは、彼の口癖を信じ続けました。

何があっても俺は石にかじりついて生きる

「じゃあ、車椅子が入る大きな車を用意しようかな」と、現実的な準備を淡々と考える彼女。祈りと具体。

そして彼は“帰還”。医師が「奇跡」と言うレベルで回復し、二人は結婚へ。以降、毎朝のウォーキング、有限な命を味わう暮らしへ。

平穏は、実は最高難度のご褒美なのだと、ふたりは身をもって教えてくれます。

「相談できる私」を鍛える

貴子さんが印象的なことを言いました。

「仕事を頑張ってきた女性ほど、プライドは高いのに自己肯定感は低い。それが“相談できない”を生む」。

図星すぎて、編集長は台本をそっと閉じました(台本ないけど)。

“言っても嫌われない私”を、自分で信じる訓練

これが、人生のハンドルを取り戻す最短ルートなのかもしれません。

郁美さんは、今の夫に「友達みんなに会ってほしい」と頼みました。テストみたいで嫌がる人もいるでしょう。彼は笑って言ったそうです。

いいよ、全員に会って。意見も全部聞くから

この人になら、そう思わせてくれる器こそ、未来を一緒に生きたいと思える相手の証なのですね。

次回はいよいよ最終回。

「被害者」の物語で完結させないために、郁美さんが選んだ“日々の作法”を、もう少しだけ深掘りします。

ちゃぶ台、あたためてお待ちしています。


台本なし。カットなし。
感情むきだしの“本音版”は音声だけ。心臓に直接届くインタビュー、ぜひ聴いてください。 
https://unatale.com/34-radio/

加齢応援マガジン『ウナタレラジオ』特別回 第三回
ゲスト:木村郁美 × 川崎貴子 × 近藤洋子


[この記事を書いた人]ウナギタレ子(Taleko)

1972年生まれ。加齢応援マガジンUNATALE(ウナタレ )の編集部員にして哲学的お節介人。A面よりB面、タモリ倶楽部のの隣にいたいタイプ。
「まぁ、ええやん」と笑いながらも人生の奥行きを見つめるのが得意技。若造りはしないけど、美意識は忘れない。
SNS映えより、心の温度を1℃アップ。

今日も読者の足元に、そっと灯りを。
加齢応援マガジンUNATALE   https://unatale.com/

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