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おかげさまで、乳がんサバイバーの仲間入りができました

10⽉はピンクリボン月間ということで、ウナタレ世代にとても身近な乳がんについて毎週1本、コラムを繋げていきたいと思います。
自分や大切な仲間が、これからも自分らしく笑顔で暮らせるように、何よりまずは検診を。
トップバッターは「日本一、元気で明るい乳ぽん患者」の キャッチフレーズを持つ、つっちーさんのコラムです。

先日、30年ぶりの試合復帰第1戦のドロー(対戦表)が発表されました。

ドローに自分の名前を確認したときは、

ワクワク嬉しい反面、ちょっと恥ずかしい気もw

1年間、準備をしてきたので、

勝ち負けも気になるところではありますが、

当日は思う存分、楽しみたいと思っています。

さて、齢50を過ぎて、プチアスリート・ライフを再開したきっかけは、

コラムでも書いた通り、母の死が大きく影響していました。

今、健康でも、何らかの病気を患っていたとしても、

誰しも明日がやってくる保証なんてない。

そんな当たり前の摂理を改めて思い知らされたことで、

やりたいことを先延ばしにしてはいけないな、

と、実感したことが背中を押してくれたのは事実です。

が、もう一つ、

乳がんを発症し、術後10年を無事、迎えることができたことも

影響しています。

見ず知らずの方からの一通の手紙から始まった

私の「乳ぽん」ライフ

私が乳がんを発症したのは、今から11年前、42歳になる年でした。

その数年前から風邪をひきやすくなったり、

なんとなく疲れが取れない日々が続き、

病気が見つかる頃は、朝、目覚めても背中がベッドに張り付いているかと錯覚するくらい起き上がることにも苦労、会社に出社しても倦怠感で覇気がありませんでした。

今、思えば、明らかにおかしい状態です。

でも、当時は40代に入り、年をとったせいかなって思っていました。

同世代のビジネスパーソンは、

毎朝、こんなに辛いのにちゃんと起きて会社に行って、バリバリ働いて

すごいなって心から尊敬していたほど。

そこから、どうやって乳がんに辿り着いたのか、というと、

なぜかその頃から、「乳がん」の文字が度々、私の目に入るようになったからです。

机から落ちた雑誌を拾い上げると、乳がん関連の記事のページが開いていたり、

ふと、夜中につけたテレビで乳がんサバイバーのインタビューが流れていたり、

映画『余命1年の花嫁』が放送されていたり。

なんとなく気になって自分の胸を確認すると、

左右で形がちょっと違う。

そういえば、最近、右側がいつも吊っているみたいな感覚があって、

右肩だけ、肩こりがひどいよな、と気づき、

「もしかして」と、鳥肌が立ったのを覚えています。

で、早速、近所で評判のレディスクリニックに行ったのですが、

どういうわけか、その日はめちゃ混みで

正味、12時間ほど待合室で待ったのですが、

結局、診察していただくことはできませんでした。

それでも気になったので、翌朝、新しくできたレディスクリニックへ。

実は、そこで初めて知ったのですが、

レディスクリニックは、子宮関連が専門。

乳がんの疑いがあるときは、

外科か、乳腺外科(ブレストクリニック)に行くのが正解なのだと(汗)。

ただ、ある程度、診察はできるから、と、

触診をしていただいたのですが、

特に気になるところはないとの見立てでした。

ただ、どうにも気になるので、もう少し、詳しく診ていただくことはできないか

と相談すると、エコー(超音波)で確認してみましょう、ということに。

みるみる表情が曇る先生に

「やっぱり、これはただごとじゃないな」と、悟りました。

後でわかったことですが、

私の乳がんは、しこりを作るタイプではなく、

踏みつけたガムのように平べったいものだったので

触診で見つけるのはとても難しかったそうです。

あの時、念の為とエコー検査をしていなければ、

間違いなく、今頃、私はこの世にいなかったと思います。

乳がんを発見してくれた先生の紹介で

ブレストクリニックで精密検査&確定診断の段階では、

すでにステージⅢまで進行していましたから。

何はともあれ、私の予感は的中。

晴れて乳がんと確定診断の告知をされました。

その日のことは今でもはっきりと覚えています。

なぜかというと、

「よぉ〜し、いっちょ、やってやろうじゃないの!」

と、体の奥からパワーがむくむくと湧き上がってきたからですw

当初、がんの告知というと、

ドラマのワンシーンのように頭が真っ白になるのかな?

なんて思っていたのですが、

私の反応は全然、違いました。

なんだか、みるみるやる気がみなぎり、

帰宅後、すぐに闘病ライフをつづるためのブログを開設。

さらに、情報収集をしようと、気になる専門書を片っぱしから注文しました。

その一冊にこんな手紙が入っていました。

「“がん”というと、響きがいかにもおどろおどろしいので、

いっそのこと“ぽん”くらいに思って、治療、頑張ってくださいね」

中古で買った本に添えられていた見ず知らずの方からのお手紙。

名前も顔も分かりませんが、この手紙で「ピン!」ときました。

今日から、乳がん患者改め、乳ぽん患者で行こう!

その瞬間から、私の乳ぽんライフがスタートしました。

ぽんちゃんが教えてくれた

大切なこと

「がん」に「ぽんちゃん」という愛称をつけ、

そこからお別れ(摘出手術)するまで、

数ヶ月間に及ぶぽんちゃんとの共同生活が始まりました。

今、振り返っても濃密で、とても幸せな時間でした。

曲がりなりにも、命に関わる大病を患ったことで、

今まで見えていなかった景色に気づけるようになりました。

例えば、あんなに辛かった目覚めのひととき。

それまで、朝が来ると「あぁ〜、もう朝? もっと寝ていたかったのに」

と、思っていたのが、

「よし! 今日も1日ゲット!」と、

今日という時間を得られたことに喜びを感じるようになりました。

普通に仕事に行けることも、かけがえのない時間になりました。

それまでも仕事は好きでしたが、

今日、すべきことがあることがとてもありがたくて。

家族や友人、一緒に働く仲間ならともかく、

お客様までもが、ちゃんと治療できるように協力を申し出てくださり、

素敵な人たちに囲まれていたんだな、

なんて幸せ者なのだろう、と思わずウルウルしたことも一度や二度ではなく。

食生活もしっかり見直したことで、

病気治療中だというのに、体調もみるみる回復、

人は食べたものでできている、ということを

身をもって感じることもできました

当たり前の日常こそが、

実はこの上ない宝であることに気づくことができました。

「幸せ」って、そこらじゅうにゴロゴロ転がっていたんだな。

その事実を発見したときの衝撃は、今も忘れることができません。

いつしか、そんな幸せや感謝を見つけるたびに、

右胸に宿るぽんちゃんに報告するのが日課になっていました。

「おかげでこんなハッピー見つけたよ。ありがとね、ぽんちゃん」と、感謝の言葉も忘れずに。

旅立ったぽんちゃんに

約束したこと

いつしか深い絆で結ばれた私とぽんちゃん。

あまりに楽しく「ぽんちゃん自慢」をするもので、

いつしか「日本一、元気で明るい乳ぽん患者」と、

キャッチフレーズをついたほどw

でも、その時はやってきました。

そう、摘出手術の日です。

最後の夜、ぽんちゃんに感謝しつつ、私は誓いました。

どんなにぽんちゃんを愛おしく思っていても、

これ以上は一緒にいられない。

でも、ぽんちゃんを無駄死にはさせないよ。

ぽんちゃんの分まで精一杯生きる。

ぽんちゃんが、甲斐があったと、納得してしまうくらいに。

いつか、あの世でぽんちゃんに再会するときには、

その生き様を報告するから、楽しみに待っててね、と。

ぽんちゃんとお別れして、12月でまる11年を迎えます。

乳がんでは、術後10年が完治の目安となります。

つまり、正真正銘、乳がんサバイバーの仲間入りをしたということ。

治療中は、1年後、5年後、10年後、ましてや老後のことなんて

とても想像できる心持ちではありませんでした。

が、今はおかげさまで、未来に想いを馳せることが自然にできるようになりました。

とはいえ、保証された明日はない、という事実は変わっていません。

だからこそ、亡きぽんちゃんに顔向けできるよう

やりたいことがあるのなら、先延ばしにせず、どんどん挑戦していこうと思っています。

心も財布も満たされる仕事・生き方=ハッピーキャリアの輪を

もっともっと広げていきたい!

乳がん検診の大切さも啓蒙していきたい!

愛犬との時間も思う存分、楽しみたい!

テニス留学もしたいし、愛犬と車中泊の旅にも出たい!

まだまだ、やりたいこと、やり切っていないことがたくさんあるので、

ぽんちゃんへの生き様報告会は、当分、開催できなさそうですw

ってことで、さぁて、まずは試合復帰をとことん楽しみましょうかね。

つっちー

[この記事を書いた人]つっちーさん

2匹のパグ(♂)と暮らすアラフィフ。働く女性向けに心も財布も満たされる仕事・生き方を支援する学校「はぴきゃりアカデミー」を運営するかたわら、この秋、公式戦復帰を目指し、「時間がないならお金を使え!」をモットーに、週3〜4ペースでテニスのレベルアップに挑戦中。

つっちーさんの著書:「はじめての乳がん――働くあなたが聞きたい本音Q&A83」

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