親は一生と思い知らされた日
毎度お騒がせの次女のところには高校2年生の女子Nがいます。Nは次女が結婚せずに産んだ子で、６歳まで私の家で育ちました。当時は私の方が次女より帰りが早かったので、保育園のお迎えに行ったり、夕ご飯を食べさせたり。なので、私にとってNは三女のようなものです。
その子が次女の逆鱗に触れることをやらかしたのであります。内容は端折りますが、とにかく次女は怒り狂って「出ていけ！ もう戻ってくるな！」と娘を追い出し、Nは私に救いを求めてきました。お互いの家は同じ沿線の駅３つと近いのです。
次女は激しい性格なので怒るとメチャクチャ怖くて、私が「今日はうちに泊まらせる」とラインしたら次のような返事が返って来ました。
「私は許す気はないし、このまま時間が経てば元通り、と思われては困るので、児童相談所に相談して一時保護してもらう。学校はちゃんと行かないし進路もちゃんと考えてないから辞めさせる。こんなクズのために少ない給料の中から毎月コツコツ学資保険貯めてたわけじゃない。学校に行きたければ働いて行けばいい。食べたいなら働け。それができないなら堕ちろ」
ひえ〜、なんて恐ろしいんだ…。我が子ながらビビるわ。これはちょっとやそっとじゃ収まらないな。確かにNは悪いことをしたんだけど、10代の頃って不安定で色々あるでしょ。次女だって高校生の頃は本当に手に負えなくて、親の私はズタボロだったわよ。そんな自分を思い切り棚に上げて、16歳の娘を追い出した挙句に学校も辞めさせるって…鬼か。
幸か不幸か、Nの高校は私の家からだと10分くらいなんです。仕方ない、うちで預かるしかないな。自由気ままな独身生活をエンジョイしていたのに、いきなり高校生の母に逆戻りです。大嫌いなお弁当作りもしなくちゃいけないし、ご飯をも食べさせなくちゃならない。この歳にしていきなり母親業復活。
親って一生なのだと思い知らされました。Nは可愛いからいいんだけど、結局次女の尻拭いをしているわけで、いくつになっても心配の種を作ってくれる。今までも散々引っ掻き回されて来たけど、実際に巻き込まれるのは久しぶりです。
しかし、あの勢いで旦那を追い出したんだわね。同じ勢いで自分の娘まで追い出しちゃうんだから驚くわ。今彼女の元には小学5年生、４歳、３歳の3人の息子がいるけど、可愛い盛りのあの子たちだって高校生になったときにどう変身してるかわからないよね。その度に追い出すのだろうか。
「家族がなくなったら私はどうやって生きていけばいいの？」と泣きじゃくるNに、「私がいるから大丈夫」と言って聞かせたけど、近くに住んでいて本当によかったわぁ。
［この記事を書いた人］やまざき ゆりこ
娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。
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