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余白のあるバカが好き

息子の中学受験が終わり、突然ポッカリ余裕ができた。いや、現実的には子供2人を抱える中年主婦には、時間的にも物理的にも余裕なんてものは一個もないのだが、今まで1ミリの隙間にすら埋め込んでいた「何か」が無くなった気分なのだ。

突然シャバに解放された時ってこんな気分なんじゃないだろうか?
爽快感もあるが、ソワソワとする不思議な居心地の悪さもあり、さあ何をしよう(何かしなきゃ)と思うだけで心が疼くのだ。

で、何をしたかというと、まずお笑いのライブを観に行った。
ベテラン芸人の単独ライブだ。

笑った。何も考えずに心の底から笑える時間を、ありがたく享受した。
お笑いライブというものを味わえる心の余白に、幸福感を感じた。
もっと詳細に言えば、特になんの目的もないもの、自分の人生にとって何の利益ももたらさないものに、雑に言ってしまえば「無駄」な時間を楽しめていることに、とてつもない幸せを感じた。

無駄のない人生とは

ミニマリズムな世の中だなと思う。
目的に対して最小限の行動で済むにはどうしたら良いか、そればかり人間は考えているような気がする。
タイパ、コスパと、賢い人や若い人ほど考えてしまうのだろう。
だったらAIでいいのだが。最適解はAIが出してくれる。

息子の中学受験を伴走しながら感じたこともそうだった。
医学部とか理系進学だとか、子供の将来を暗に決定し、そのための最短ルートを親が決めていくようにも感じた。
カーナビか。Googleマップか。

人生の寄り道は、時間と労力の「無駄」なんだろうか。旅は寄り道をするから、面白いんじゃないのか。

案内には載ってない絶景や、自分だけが知っている秘境のようなものに出会えたら最高だし、寄り道をしたことで、例えば道に迷ったり、目的を見失っても、旅の失敗エピソードや残念な経験ほど、その人を語る上での奥深さになっていたりする。
危ねえ、危ねえ、危うく可愛い我が子に最短ルートを指南しそうになっていた。

昨年、M-1グランプリを優勝した令和ロマンという若手のお笑いコンビがいる。
2人とも慶応大学卒業で、その1人の松井ケムリさんは法学部出身、父親は大和証券のCOOということでも話題にあがった。
芸人を目指すには逆風が強そうな環境にも思えるのだが、ケムリさんが父親に「芸人になろうと思う。」と言うと、父親は「AIができない仕事だから良いんじゃない?」と答えたそうだ。
自分だったら法学部出身の息子に言えるだろうか?
「人間にしか出せない答えを、人生で築きなさい」という意味だとするならロマンがある。・・・ロマンが。

残りの人生で出会いたいタイプ

結局、余白のある人が好きなんだろう。
自分が「素敵だな」と思う人は、みんな余白や無駄がある。ちょっとバカなくらい。
推し活や趣味も含め、人から見れば無駄にさえ思えるようなことに熱中できるのは、その人の余白だ。
無宗教なのに趣味で仏像を掘っていたり、やたら無駄なことに雑学があったり、意味もなく多肉植物を育てていたり、尋常じゃない推し活をしていたり、そういう人が大好きだ。
利害と目的の人間関係でぎゅうぎゅうになっているタイプには、興味が持てない。

もうすぐ50歳になる私自身の人生は「余白のある人生」だろうか?
これからは特に役にも立たず、得にもならない、それ何のために?と思われるようなことに熱中して生きていきたい。

そういうことに精力を注ぐ愛すべき狂人に、もっと出会いたい。
そのためにウナタレをやっているのかもしれない。

やっぱり余白に「無駄」を埋めていくことは、幸せだ。

ウナギタレ子タレ美


[この記事を書いた人]ウナギタレ子・タレ美(Taleko/Talemi)

加齢応援マガジンUNATALE編集部 
姉のタレ子1972年生まれ、妹タレ美1973年生まれの更年期姉妹。
夜な夜な子供部屋で聴いていた「オールナイトニッポン」が今の姉妹の人格形成に影響を与えている。「A面」よりも「B面」、「ゴールデン番組」よりも「タモリ倶楽部」を愛する、根っからの「裏面好き」。SNSには露呈しないウナタレ世代のリアルな叫びを届けたいと日夜、奔走している。
ポリシーは「Your nudge, no tale」(ウナギノタレ)=「理屈こねてないで動こうぜ」

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