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綾野剛を語り倒す「カラオケ行こ!」

娘に、観に行こうと誘われたのがこの映画「カラオケ行こ!」だ。正直「えー、何このマイナーな映画。誰が出てるの?綾野剛?あんま興味ないわー。」って感じの生返事をしていたんだが。

娘が、「読んでみ」と置いていった原作漫画を読んでからがぜん興味がわいた。面白いのだ。原作が抜群に面白いのだ。

でもこの時点では、私の中では成田狂児は綾野剛ではなかった。なんか原作のイメージとちょっと違うんじゃね?と。でも映画を観終わった時には、綾野剛は完璧に成田狂児だった。

綾野剛のポテンシャルを見過ごしていた

綾野剛。特に大ファンでもなく、好きな顔でもなく、足が長くてシュっとした、スタイルのいい兄ちゃんそのくらいの認識の俳優さんである。

彼の出ている作品をすべて見ているわけではないので、どの作品が良かったと語れるほどの知識もない。ドラマでは見るけど映画は好んで観に行ったこともない。

でも、今思えば朝ドラ「カーネーション」ですでに隠し切れないエモさがあふれだしていたではないか。「カーネーション」の中では登場回数は少ないのに周防龍一がすべてを持って行った感があったじゃないか。

そうだった、私は綾野剛のポテンシャルを完全に見過ごしていた。そう思わせてくれる映画だった。

ヤクザと中学生の会話の行間から溢れるもの

この映画は簡単に言うと、組のカラオケ大会で絶対負けられないヤクザが、合唱部の部長である中学生に歌を習う、そんな話だ。

狂児は、中学生の聡実くんに対して終始丁寧だ。声を荒げることもなく静かに語りかける。会話も、どうしたら歌が上手くなるかについて教えを乞う会話が主だ。でもその会話の行間から「あ、この男はヤクザなんだ」と思わせる何かがあふれ出てくるのだ。語られることの無い、彼の後ろにある世界がうっすらと垣間見えるのだ。するっと人の懐に潜り込むのが上手くて、語り口も優しくて。でも怖い、とても怖い。目を合わせちゃいけない、でも目が離せない。そんな感情にさせる何か。

これは綾野剛が演技の中で作り上げている物なのだろうか?意識して作っているならすごいし、無意識に醸し出されるものなら、天才だ。綾野剛はこういう役が抜群に似合う。

影のある役、なんて言い方は陳腐すぎて使いたくもないが、うまい言葉が見つからない。
しいて言えば、人生に何かを抱えて生きているような役、とでも言おうか。そんな役をやらせたら、もうその人自身の人生を体験してきたかのような、バチっとハマった演技をする。それが綾野剛のすごさだと思うのだ。

今回の映画は、原作の成田狂児が漂わせている雰囲気を綾野剛の演技力で再現した映画だ。原作のイメージとは全然違うのに最初の登場シーンから、そこには確かに成田狂児が立っていた。

もちろん聡実くん役の子も良かった。原作をリスペクトした脚本(後で野木亜紀子さんの脚本と知り拍手)も良かった。他の役者さんも素晴らしかった。でも、やっぱりこの映画は綾野剛の映画だと思う。ただただ綾野剛を堪能する映画なのだ。それほどまでにスクリーンの中の綾野剛は素晴らしかった。

綾野剛ファンの方はもちろん、綾野剛ちょっといいなと思ってる方、それ以外の方にも是非見ていただきたい映画だ。みんなで綾野剛の沼に足を突っ込むがよい。

ここで私の、映画の中の綾野剛ポイントが高かったシーン


・「紅」の和約を大阪弁で読む綾野剛
・日本一センチュリーが似合う綾野剛
・聡実くんを守ってチンピラヤクザをボコる綾野剛

あと見終わった後にカラオケ行って「紅」を歌いたくなること必須だと言っておこう。


[この記事を書いた人]sachi

片づけアドバイザー 今年還暦を迎えたタイミングで4人目の子育てと母の介護から卒業。 やっと戻ってきた自分の時間に、好きなことやりたいことを模索する日々。 好奇心の赴くままに行動する日常をお届けします。

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