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鬼よさらば

突然ですが、私の子育てについて、読者の皆様に相談です。

子育て世代まっしぐらのお母様たち、もしくは孫育て世代まっしぐらなおばあちゃまたちならご存知『鬼から電話』アプリ。

恐ろしい鬼さんから妖怪まで、非常にバリエーション豊富な強者たちがこれまた恐ろしい(もしくは不気味な)着信音と共に子供たちに電話をしてくるのです。自分が親になる前は『こんなアプリで子供の言うことを聞かせるなんてどうなの?!』みたいなことを本気で思っていたお花畑・子無し女だった私ですが、今やヘビーユーザーという現実。

そもそも親になる前からなんでこのアプリを知っていたのかというところに遡るのですが、想像妊娠ならぬ、想像子育てしていたからです。有名人の子育てに関するブログやYouTubeを見漁っては、完全なる机上の空論で、子育てを語れるほどの情報をインプットし、知識満載でした。育児に関する最新グッズまで、そのへんの新人ママより詳しいというイッちゃってるアラフォーでした。

そもそも恋愛も器用にできなければ、過去の病気の際に服用していた薬の影響で身体的にも妊娠は厳しいと言われていたので、私の人生において、子供を産むなんてことは絶対に叶うことのないであろう夢、いやそれ以上の壮大なものだったので、そりゃあもう鼻息荒く子育てしていました(しつこいようですが想像で)。

加えて、元々の子供好きが生じて、会社のファミリーイベントで子守を買って出ることはもちろん、30代前半の時には仕事を辞め、カナダのバンクーバーにある幼稚園やベトナムの孤児院でボランティアをしていたこともありましたし、30代半ばの時は、発達障害があったり、発達がゆっくりなお子様の通う学習塾などを運営する大手企業にてマネージャーをしていたこともありました。教育学部も出ていませんし、教職も持っていない素人がモンテッソーリ教育がどうとか、子供の特性がどうとか語っちゃっていましたからね。まぁそれぐらい子供好きだったのです。

そんなわけで、想像、いや妄想の中で子育てをする私は、理想の母親像で子供に向き合い、イヤイヤ期の我が子にはまずは共感し、理解しているよと伝わるような声掛けをするだとか、『〜しちゃだめ』ではなく『〜しよう』とポジティブに言い換えるとか、『〜してくれて偉いね』ではなく『〜してくれてありがとう』と言うことで、評価されたからやるのではなく、相手が喜ぶからやるという思考にするとか…まぁ努力してました。(しつこいようですが妄想で。)

そんな私に奇跡が起き、妄想ではなく、現実世界で母親になった暁には、冒頭の通り、鬼という世にも恐ろしい外圧を使い、我が子を黙らせるという暴挙に出ております。

『鬼から電話』アプリはもちろんのこと、誰もいない窓や天井に向かって『あ、赤鬼さん?うんうん、ここにいるのよ、ママの言うことを聞かない悪い子が。今から部屋に入ってこの悪い子を迎えに来てもらえる?』といった小芝居を打ちまして、娘を震えさせるのです。

まさに、本物の鬼、それは母親である私です。

先日娘の保育園で面談がありまして、担任の先生と和気藹々と話をしていたのですが、残り時間も差し迫った頃、切り出されました、鬼について。

『あのー、お母さん。○○○ちゃん(娘の名)が鬼、鬼よく言うんですね。鬼来る?とか、ママ鬼とか。お家でどんな会話してますか?鬼のアプリとか…』という先生からの問いに、思わず『あ、めっちゃ使ってます!』と食い気味に返答する愚かな母。

そこからは鬼のアプリを使う弊害や、今後娘がもっと成長したら、いかに親である私が苦労するか、もっと言うと善悪の本質的な部分の説明をせずに恐怖で解決しようとすることの将来的な恐ろしさをご説明いただきました。もう、本当にその通り過ぎで、言い辛かっただろうに、面談の最後に『これだけは今日お母さんにお話ししておこうと思って』と丁寧に話してくれた先生に感謝しかない一方で、もう私何やってんだよ、という自己嫌悪でいっぱいでした。

先生からは『○○○ちゃんは他のお友達と比較しても理解力があって、なんでもわかっていて、言葉も通じますよ。本当に頭がいいんです。だからちゃんと説明すればわかります。もちろん余裕がない時はお母さんも大変ですよね。でも○○○ちゃんはちゃんと理解できる子ですよ。』と言ってもらったのですが、我が子は理解力があるからちゃんと言葉で説明しよう!というアドバイス、もう何回目だよ、というくらい別の事象でも言われ続けていて、全く改善できていない母であることを痛感したわけです。

取り急ぎ、その場で先生と約束し『鬼から電話』アプリは消しました。

そしてその日から急に『今日から鬼はいなくなった』というまたしても雑なコミュニケーションをとり、2歳の娘を困惑させております。

その代わり、『いい子にしないとサンタさん来ないよ』『おもちゃ工場でプレゼント作ってくれないよ』という季節限定の外圧と『あ、サンタさーん、今どのあたりにいるの?じゃあもうすぐ家に来るね?うんうん、いい子で待ってるねー!』という小芝居を使って、言うこと聞かせようとしている自分がいて、どこまでいっても根本解決できない母です。

もちろん余裕のある時はちゃんと説明するのですが、そもそも余裕のある時が少ないというのが私の現状です。はい、これ言い訳です。

そんなこんなで気づいたのは、私自身が外圧の中で生きてきたということ。具体的には『こんなことしたら先生(他、それに相当する権威者)に叱られるからやめよう』『こんなこと言ったらバカな奴、使えない奴だと思われるかもしれないから、とりあえず黙っておこう』みたいなものです。

一応善悪の区別はつく42歳なので、きちんと子供の頃に教育はされてきたと思うのですが、後天的な環境要因で育まれた他者視点・他者評価の中で物事を判断してしまうという癖が多発します。

少し前から2歳の娘を注意すると『ママ、怒んないで!』と言われちゃいます。最近ではその後に『ママ、笑って』と言うのです。そんな可愛い娘の声すらもイライラのピーク時には無視をする鬼のような最低な母なのですが、そうすると何度も『ねぇ!ママ、笑って。ママ、笑って。』と言うのです。娘の健気さに書きながら泣きそうになります。

…間違いなく、娘が同じ道を辿ってしまう。

三つ子の魂なんちゃら。あの…まだ間に合いますか?これから取り戻せますか?娘はもうすぐ2歳8ヶ月になりますが…。

ウナタレ読者の先輩ママたち、教えてください。(切実。)

…それにしても子供好き=子育て楽勝ではないですね。改めてこの道を通り抜けた皆様に尊敬しかありません。


[この記事を書いた人]あまのっち

1981年生まれ。39歳6ヶ月のときに、未婚で娘を出産。以後、地元福島県に戻り、未婚シングルマザーとしてイヤイヤ期の子育て真っ只中。寝食忘れ、営業と人材育成を愛する仕事人間から、人生オールライフで楽しむ史上最高の自分になるため、仕事以外の楽しみを模索中。

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