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ドケチなフランス人とデートした話

「フランス人はケチだ」と言われますが、私はケチなフランス人に会ったことはなかったのです。元カレを含め、これまでに付き合った何人かのフランス人はちゃんと食事代やお茶代を払ってくれました。私は贅沢な女ではないから、払ってもらうと言っても軽い食事代やガソリン代くらいのものだけどね。確かに無駄遣いをしない人たちかもしれないけど、ケチではなかったよね。元カレは誕生日に大きな花束をくれたこともあるし。

ところが、1人だけドケチなフランス人がいて、半年くらい付き合ったけどケチ過ぎて別れたと言っても過言ではなかったのでした。仮に彼をフランソワと呼ぶことにしましょう。元カレもほかの人たちもみんな年下だったけど、フランソワは唯一私と同い年。おまけにワインの輸入会社を持つ経営者なんだから私の20倍くらい収入があるはずなのにドケチ。どのくらいケチなのかというと、お茶代や食事代はもちろん、ホテル代までワリカンにしたほどのドケチ。信じられる?

ただ、人物はとても面白くてね。美術や音楽に造詣が深く、私が知らないことを色々教えてくれるし、オーガニックへのこだわりとか世界情勢についての意見とかヨーロピアンならではの視点が刺激になったし話が合うことも多かった。まだペットの肖像画家になる前の私に、「君は才能がある」と褒めてくれて、それが自信につながったりもしました。私、自分の知らないことを教えてくれる人が好きなのよねえ。そんなわけで、なかなか捨て難いところがあって、フェイスブックとインスタでは繋がったままで、時々お互いに「いいね」をしたりしていたのです。


先日、そのフランソワから「会わない?」とメッセージが来ました。最後に会ったのは3年くらい前かなぁ。ある日、渋谷でお茶して帰ろうとした時、彼がさっと立って「よろしく」と先に出てしまったのよ。えー、私がお茶代を払うんですか??? それで流石に頭にきて、それ以来会っていなかったのです。でも、私ももうずっと浮いた話がないし、たまにはフランス人とデートするのも悪くないと思ってオーケーしました。

その前日、たまたま友だちの集まりがあったので、「ドケチなフランス人とデートするのよ」とワリカン話をしたら、「先にごちそうさま~って席を立ってしまえ」とみんなに唆され(笑)、その作戦で行こうと決めました。森美術館でやっている「ルイーズ・ブルジョワ展」が見たかったので、待ち合わせは六本木ヒルズ。久しぶりだわ、六本木。12時の待ち合わせだったので、早速ヒルズの中でランチをすることになりました。入ったのはインド料理の店。2種類のカレーが食べられるランチメニューを選んだよ。

フランス人はおしゃべりなので、フランソワもよく喋るんだけど、そういえば「最近状況が変わったんだ」とメッセンジャーには書いてあった。「どうかしたの?」と聞いたら、共同経営者と意見が合わなくなって会社を手放すことになったのだとか。個人ではライセンスを持っていないので手元に残った自分のブランドのワイン600本をどうやって売ろうか考えているというのです。あらら、またどうしてそんなことに。でも大して困っている風でもなく、余裕の表情で「もう引退しようかと思うよ」って。

さて、いよいよ店を出る段になると、私は作戦を実行するために先に立って「ごちそうさま~」と出口に向かいました。彼が払って出てきたので、もう一度「ごちそうさまでした」と言ったらうんと頷きました。やったー、作戦成功だ! でも、「出ようか」となった時、彼がさっと伝票を手に取ったから、はじめから払ってくれる気だったのかもしれない。いずれにしても、彼に初めて払わせた(笑)。その後、八王子に用事があるというフランソワと「じゃあね」と別れ、私は展覧会へ。これならたまには会ってもいいかな。

やまざきゆりこ


[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ

娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。

墨絵&日本画 梨水
http://risui-sumie.sakura.ne.jp/wp/

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