ダメな会社は楽しい
私は足掛け14年ある紙媒体の仕事をしていますが、この仕事に定着する前はコピーライターをやりつつ色々な仕事をしました。営業も事務もギャラリー勤めもやったし、企画会社では講座の司会もやりました。フリーランスは水モノで良い時も悪い時もあったからですが、私はどんな単調な仕事でも面白がってできるし、幸い職場の人間関係で困ったこともない。なので楽しく働くことができるのですが、なぜか6年経つと飽きてしまうのよ。
そんなわけで、コピーライター歴は35年もあるのですが6年周期で仕事先が変わっていたので、今みたいに14年も同じ会社の仕事をするのは初めてなのです。飽きっぽい私が同じ会社の仕事を飽きずに続けていられるのは、ひとえにこの会社には「伸びしろしかない」から。つまりダメダメな会社なのよ。笑
この会社の主な仕事は、毎月発行している女性向けのフリーペーパーの制作です。フリーペーパーはすべての記事が広告です。編集記事のように見えても実は広告(たまには本当の編集記事もあるけど)。月初めからぼちぼち原稿が入り始め、3週目の水曜日に校了します。フリーペーパー以外には殆ど仕事がないので、スタッフは校了した後はやることがない。で、みんなが何をしているかといえば、ぼーっと1日スマホを見ていたりするわけです。
私は退屈が嫌いなのです。それでこの10日間が勿体なくて、何か新しいことができないかと考えていました。当時は16ページ編成で、若い営業マンが退職してからは全ページを埋めるのに苦労していました。それで社長に「1ページください」とお願いして、活躍する女性を紹介するコラムを始めたのです。
紹介したのは、私が日頃からFacebookで気になっていた人たちです。直接知っている人ではなく、「友達の友達」としてフィールドに上がってきた人ばかりで、興味をそそられるセミナーを読者向けにやってもらえたら面白いと思った。本当は自分が聴きたかったからなんだけどね。それで更に「セミナーをやりましょう」と提案。毎月テーマを変えてホテルランチ付きセミナーを開催することになり、コロナ前までの2年半続きました。
紙媒体がネットに押されてどんどん消えていく中、この媒体も苦戦を強いられ以前の半分の8ページになり、好きに使わせてもらえるページもなくなりました。コロナ禍でセミナーもできなくなり、ここ数年ますます低迷しているのですが、それでも34万部も発行しているから相変わらず伸びしろはある。そこを何とかできないかとあれこれ考えるのは私の趣味のようなものです。
コロナ禍から脱出し人の動きが戻る中、「おとな時間を楽しむ、というテーマで色んな提案をしていきましょう」と、去年の春から新たなコラムが始まりました。コラムのタイトルは「編集長のイチオシ」で、本当は編集長なんていないのに私がエセ編集長になってコラムを書いています。たまにクライアント絡みのコラムを書くこともあるけど、大抵は好きなことを書ける。それで最近は友だちが作っている商品や書籍のことを勝手に宣伝しています。反響があったと聞くと嬉しい。
本当は狙っていることがあるんだけど、社長に話したら尻込みするから自分の中で温めています。見ている方向が違うなぁ、そっちじゃないのになぁと思いながら、私は次の作戦を考えているのです。そういう自分の習性を考えても、私は根っからの参謀タイプなのだと思う。
[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ
娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。
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