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男の幻想と女の現実

知り合いの高齢のご夫婦(80代)二人暮らしで支え合って暮らしていたのだが、旦那さまの方が昨年病気で倒れられてあまり動けなくなり、そこから認知症が進んでしまい自宅での介護が大変になっているらしい。どうも昼夜逆転してしまっているようで、夜中に大きな声で騒ぎだすようになったとのこと。

ケアマネさんやヘルパーさんなど介護のプロの方はキチンと介入されていて、どうにかしなきゃねと言う話にはなっているらしく、日中はヘルパーさんが来てくれたりデイサービスの日もあったりはするのだが、夜は高齢の奥さま一人で面倒を見ている状態だ。

夜中眠れずに自分を呼んでくるご主人、なにせ毎日の事なので奥さまの方が寝不足も重なり、体力的にも精神的にもだいぶ参っているらしい。

私は家族でもなんでもないので話を聞くぐらいしか出来ることもなく、つたない知識の中からこうしたらどうだろうか?ここに相談してみては?と提案してみるくらいしかないのだが、とりあえずは奥さまとご主人さまを物理的に離して、奥さまがゆっくりと休める時間を確保するのが一番なのではないかと思っている。

「もう自分が先に逝っちゃいそうよ。」とおっしゃる奥さまに、老々介護の厳しさを目の当たりにする日々だ。

そんなことを朝の犬の散歩の時に連れ合いに話してみたら、予想外の答えが帰ってきて驚いた!旦那が言ったのは

「お父さんとお母さんと一緒の老人ホームに入れるといいね」

はて?


朝ドラ「虎に翼」のトラちゃんの口癖がつい出てしまった。

いやいや待て待て!


私の話聞いてた?お母さんはお父さんから離れたがってるんだよ。離れないと自分の身体が持たないと言ってるんだよ?今のままじゃ自分が参ってしまうからどうしようか?って話なんですが?なんで一緒のホームに入るとかって発想にになるんだよ!と鼻息あらく詰め寄ると、

旦那いわく、

「お母さんはお父さんと本当は離れたくないんだよ。お父さんもお母さんが一緒にいてお母さんにお世話してもらえたら嬉しいんじゃないの?やっぱり夫婦はいつまでも一緒にいるのが良いよ。」

だってよ。

えっと、今、令和何年でしたっけ?いつまで昭和の価値観で生きてるんですか?と聞きたい。

どんだけ頭の中お花畑なんだよ。嫁がいつまでも面倒見てくれる、介護してくれる、ずっと一緒にいてくれる。それって男の幻想以外のなにものでもないんじゃないんですか?じゃあこれが逆の立場だったらあなたは奥さんの介護とかできるの?と聞きたい。

あまりにもトンチンカンな返答に、くらくらと眩暈がしてしまった。もっと現実を見ろよ!と声を荒げてしまった。

ドラマフリークの私は、NHKの朝ドラ「虎に翼」を見てはXで皆さんのつぶやきを追うのを楽しみとしているのだが、その中で多いのがドラマの舞台となる当時から100年近くたっているのにいまだにアップデート出来ていない男どもがいかに多いか、ということ。

男女平等をうたいながら家事育児、介護は女がやるのが当たり前、やってもらえて当たり前と考えている男性が世の中にはまだまだあふれているということ。私は家事も育児もやりたくないと言っているわけじゃない。やって当たり前と思われていることに腹が立つのだ。介護もしかりだよ。

旦那が死んで生き生きと自分の人生を生き始める女性に比べ、奥さんに先立たれると、自分じゃ何もできずにしなびていく爺さんが多いのもうなずけてしまう。

60代の我が家の連れ合いでさえまだそんな価値観で生きているんだから、70代80代の方なんて、家で奥さんに何でもやらせてふんぞり返っている爺さんがあまたいるんだろうな。あぁ、老害!

まあ、それが当たり前と思いこまされている女性が少なからずいることも否めないのだが。

ご主人が、奥さまが大好きでずっと一緒にいたい!って方はお二人の価値観が一致しているのだから外野がとやかく言うことではないのだが、昭和の価値観から抜け出せずに誰かに我慢を強いている人は、そろそろ現実をしっかり見た方が良いんじゃなかろうか。

ちなみに、老々介護に悩んでいるくだんの奥さまは私にこっそりと、


「お父さんがなるべく遠くのホームに行ってくれたら清々するわ。年に何回かくらいなら会いに行ってもいいけどね。」とおっしゃって、フフフとほほ笑んでいらした。

私も同じ立場だったらそうする。それが現実。


[この記事を書いた人]sachi

片づけアドバイザー 今年還暦を迎えたタイミングで4人目の子育てと母の介護から卒業。 やっと戻ってきた自分の時間に、好きなことやりたいことを模索する日々。 好奇心の赴くままに行動する日常をお届けします。

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