親からの愛情 親への愛情(前編)
珍しく、朝から都内まで電車移動だった日。
グリーン車の停まる列にいたら、幼いツーキッズ+ワンオペママが後ろに並んだ。
下の子はぬいぐるみを抱いてベビーカーに乗っている。
え?
その脆弱すぎる陣営でどうやって電車に乗り込むつもり?
電車到着時刻が近づき、ワンオペママがベビーカーから下の子をおろし、ベビーカーを畳みながら、上の子(幼稚園くらい)に言い聞かせる。
絶対に手を離さないでね。
電車に乗るとき、電車の前に隙間が空いてるから気をつけてね。
いやいやいやいや、絶対無理だってば。なに言ってんの。
人間の手は2本しかないのだよ。どう考えても1本足りない。
断られるかな?と思いつつ、「ベビーカー持ちますよ」と声をかけたら
「えええええーーーー!いいんですかーーーー?」と、ものすごく感謝された。
先に乗り込んでもらい、ベビーカーを持ってあとに続く。
車内は混んでいて、ワンオペママから少し離れた席を確保するのがやっと。
そうこうしていたら、すでに席に座っていた30代くらいの女性がワンオペママに声をかけた。
「ベビーカーと荷物預かります」
さも当たり前という感じで、でっかいベビーカーと手提げ荷物を受け取り、自分の前に置く女性。
え、ちょっと。カッコいいんですけど。
数駅を通過し、隣の席が空いたら、彼女が上の子を手招き。
おいでおいで。こっちにおいで。
隣が空いたから、こっちに移動した方がいいですよ。
え、ちょっと。スマートさんすぎるんですけど。お仕事なにされてます?
看護師さんとかですか?惚れるわ。(斜め後ろの席で観察)
ワンオペママ、大感激。
ありがとうございます、ありがとうございます、本当にありがとうございます。
子どもたちやワンオペママとおしゃべりしたあと、女性は川崎でサッと降りて行った。
他人の目が無くなったからなのか、下の子がぐずり出す。
上の子が乗り物酔いする体質らしく、ワンオペママは上の子を抱っこしたい。でも下の子がそれを許さない。ずーるーいーーーーー!!!
昨日の夜、話したでしょ。
◯ちゃんは、電車に乗ると気持ち悪くなっちゃうから、抱っこするかもってお話ししたでしょ?
そんな事前準備までして、電車に乗り込んでいるんだ。
お母さんは大変だなあ。
それでも下の子はぐずり倒し、結局、ワンオペママはふたりの子を膝の上に乗せた。まじでおつです。おつかれさまです。
私に子ども抱っこスキルがなくて、、、力になれなくてごめん。
ワンオペママが下の子に語り出す。ほぼ独白。
◯ちゃん(下の子)にもね、助けてもらえたら嬉しいの。
だって、見たでしょう?
見ず知らずの人が、ベビーカーを運んでくれたり、ベビーカーや荷物を預かってくれたり、親切にしてくれるんだよ。優しくしてくれるんだよ。
ありがたいよね。
ママはさ。ママは子供を産む前、こんなふうに知らない人に声をかけて、親切にしたりとか、ぜんぜんできてなかったよ。
子育てを通して親が成長するってこういうことなのかしら?
ワンオペママの独白を斜め後ろの席で盗み聞きしながら思う。
そして、前日に実家訪問したときの母のことを思い出す。
〜つづく〜
[この記事を書いた人]さとちゃん(SATO-CHAN)
1973年早生まれ ウェブまわり仕事のフリーランス、ブロガー
オーシャンビューな部屋で猫とふたり暮らし
性格→意地悪
茅ヶ崎カーストについて赤裸々に書きすぎて炎上したブログはこちら
https://ouchigohan.club/chigasaki/3121
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