死ぬ前にやっておくべき大事なこと
先日の夜、急に胸が痛くなったのです。それまで「胸が痛い」という感覚は今ひとつピンと来なかったのですが、「これが胸の痛みか」と実感した。咄嗟に思ったのは心臓。私は死蔵発作を起こしているのだろうか。癌ならともかく、心疾患は私の計画にはないのに。
その日の夕飯に、私は好物の赤エビのお刺身を食べました。お刺身１パックは１人には少し多すぎるんだけど、半分食べて残りに火を通しておくのも面倒なので全部食べてしまったの。その時ちょっと気持ち悪いと思ったんだけど、口直しにブルーベリーを食べたら少しマシになったのでそのままテレビを観ていたのです。
急に胸が痛くなったのは11時ごろ。経験したことのないような痛み。背中も痛いし肩の方まで痛い気がする。どうにもこうにも辛くてベッドに倒れ込み、ひたすら耐えていましたが、そのうちに吐き気がしてきてトイレでもどしました。なんと、便器に真っ赤な鮮血！
えーーーー、何これ？ 私死ぬのか？
でもよく見たら赤いのはブルーベリーの色素だった。ああよかった、吐血ではないのね。よろよろとベッドに戻り胸の痛みと吐き気に耐えていたけど、症状はまったく収まらず。もう1時間以上経ってる。救急車を呼んだ方がいいのかも。でも思考力は低下しているし、体を動かすのもだるくて、横になっているうちにいつの間にか疲れ果てて眠っていました。
翌朝、もう胸の痛みはなかったけど、胃はまだ変な感じだった。で、起きた途端に私がしたことは、万一のときに連絡して欲しい相手を書き出すことでした。死ぬのは怖くないんだけど、あのまま死んだら仕事に穴を開けちゃうでしょ。お世話になってる会社にもウナタレ編集長にも登録しているアートのポータルサイトにも連絡してもらわなくちゃいけないし、友だちにも連絡しなくちゃ。エンディングノートなんてまだいいやって思ってたけど、ダメダメ。いつ何が起きるかわからないんだから。
とりあえず緊急の連絡先だけ書いて、冷蔵庫の扉に貼り付けた。いや、冷蔵庫は見苦しいからゴミ箱の扉にしよう。その方が目立たないわ。ここに貼っておいて、いざというときはそれを見るように娘に伝えておけばとりあえず安心である。
でも時間が経って冷静になってみると、書き出しておくべきことはもっとたくさんあることに気づきました。お金のことや保険のこと、葬儀のことや遺品の始末のこと等々。
せっかく「死ぬ」と思ったんだから、この際ちゃんと整理しておこう。備えあれば憂いなしだわ。
［この記事を書いた人］やまざき ゆりこ
娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。
◆コラムの感想やコラムニストへのメッセージはウナタレ 「友の会」コラムニストの部屋にて。
わかる、わかる！とコラムを読んで共感したあなた、友の会でお待ちしております。
コラムニストの部屋
https://tomonokai.unatale.com/category/columnist/
