豊かさと贅沢と
ウナタレ世代になると、誰でも自分なりの贅沢をすることがあると思います。贅沢イコールお金をかけるということだとすると、何に贅沢をするのかは人それぞれ。食通なら高級レストランの食べ歩きかもしれないし、ファッションが好きな人だったらちょっとお高いブランドの服やバッグを買うことかもしれない。旅行好きなら高級ホテルに泊まるとかね。
私は仕事でシティホテルの記事をよく書きます。帝国ホテルやホテルオークラなどへ取材で出入りすることも多いのですが、実際に利用したことはないのよ。東京近辺に住んでいると都内のホテルに泊まる理由がないし、元々一流ホテルの快適なステイに対する欲求がまるでないのです。
贅沢なステイをしたことがないからかもしれないけど、私にとってホテルは寝るための場所。目的はホテルの外にあるので、快適であれば寝るのはどこでもいいって感じ。なので、海外でもプチホテルで十分楽しめちゃいます。パリのリッツには泊まってみたい気もするけど、きっと身の置き所がなくて落ち着かないわね。要するに貧乏性なのかもしれません。
食に対する執着もないので、贅沢な外食をしたいと思わない。BBAはそんなにたくさん食べられないし(笑)、美味しいものが少しだけあればいいのです。そういや昔は元夫とたまにちょっといい店に行ったっけ。乃木坂の美味しいイタリアンに行ったときなど、前菜まででお腹がいっぱいになって、メインとデザートは殆ど食べられなかった。前菜にパスタが2種類も出たらもう無理なのよ、私。カルボナーラが美味しかったけど。
そんな私が何に贅沢をするかといえば、やはりアートなのです。リビングに飾っている絵はここ数年で買ったものだし、今までで1番高い買い物も絵だった。アフリカのオブジェもなかなかいいお値段だったけど、そういうのは、ほかのものを我慢してでも「えい」って買えちゃうの。といっても、光り物に比べたら安いものだと思う。
なにしろ私はインドア人間なので、自分のいる空間がとても大事なのです。目に映るものが何より大事なので、自分のご機嫌を取るためには美意識にピッタリ合った空間でなければならない。それさえあれば何もいらないって感じかな。その割にホテルにこだわりがないのは、そこが自分の場所ではないからです。仮の場所ならなんでもオーケー。どこででも寝られるタイプだし。
なので、衣食住で言ったら圧倒的に「住」が大事。「衣」と「食」は同じくらいかな。食にもそれなりのこだわりはあるけど、贅沢な食事とはかけ離れたものです。どっちかというと素食が好き。そして洋服はモード系が好きだけど、最近洋服買ってないなぁ。もしお金が腐るほどあったとしても、今とさして変わらない生活をしてると思うな。つまりは心の満足度の問題なのね。それを豊かさっていうのかな。
[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ
娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。
◆コラムの感想やコラムニストへのメッセージはウナタレ 「友の会」コラムニストの部屋にて。
わかる、わかる!とコラムを読んで共感したあなた、友の会でお待ちしております。
コラムニストの部屋
https://tomonokai.unatale.com/category/columnist/