介護度エリートな父が特養で亡くなった話
うなたれ読者のみなさん、こんにちは!さとちゃんです。
いきなりですけど、親の介護、終わりました?
それとも真っ最中?
まだまだこれからで呑気に構えてる?
最近、同年代の友人が、母親の介護手続きでてんてこ舞いだと話してまして、ふと思ったことがあります。介護って「親ガチャ」どころか「家族ガチャ」だなと。
さあ、いってみよう。
要介護度ってなんですか?
ウチの父は糖尿病からくる脳梗塞で、ある日、言語障害&様子がおかしくなり病院へ。
頭をパカっと開けてみたところ
「ここまで進んでいては、手術は無理です」
とお医者さんにバッサリ言われ、すぐに病院を出されリバビリセンターへ。
当時64歳。
左半身麻痺と高次脳機能障害を携えて、要介護度はぶっちぎりの5。
「5っていちばん低いの?いちばん高いの?どっち?」
介護なんてまだ先の話だと思っていたので、私の当時の知識レベルはこの程度。このときはまだ、要介護度5の凄さを理解していませんでした。
介護ベッドを買う?だと?
以下、家族の反応。
弟:要介護度5とはいえ、10年くらい前に心臓の手術しているから、心臓が補強されているらしいんだよね。それだと案外長生きするらしいよ。何十年と続く介護生活の始まりかあ〜
母:家のローンがまだ何年も残ってるのに、、、
要介護度5でも生きてるから団信(団体信用保険)は降りないんでしょ?
弟嫁:お姉さん、介護ベッドは借りるよりも買っちゃったほうが安く済むらしいですよ。おもいきって買っちゃいます?
わたし:え?おもいきって介護ベッドってどういうこと?ちょっとなに言ってるのかわからないw
手術ができないとわかってすぐに介護ベッドについて調べ始めた弟嫁。
父を施設にやるつもりはまったくなく、家で介護する気満々。どういう思考回路なん?
家に帰りたいであろう父の想い
弟嫁がそう言ってくれるなら、自宅で介護するべきなのか。
母、私、弟嫁(実家から車で30分のところに居住)の3交代制にすれば、なんとかなるかもしれない。
リハビリセンターには半年しかいられず、次の施設を探さねばならないタイミングで、センターの婦長さんっぽい人に、ものすごーく遠慮がち風の押し強めで言われた。
「お父様、ちゃんとお話できるわけじゃないから、そんな気がするってだけなんですけどね。多分、次は施設じゃなくてご自宅に帰りたいんじゃないかと・・・」
母に言ってもダメだったのか。
それとも「この奥さん、まったくご主人に愛情ないな」と秒で見抜いたか?
さすがプロ。
そうですよねーとしか返せなかった。
父の思いをちゃんと伝えてくれてありがとうございます。
母の激しい拒絶
が、しかし、母は断固拒否。
弟嫁とわたしに介護なんてさせたくない
自分でトイレにも行けない人に家に戻って来られても困る
ガスコンロの火をつけっぱなしにして火事を起こされるのが怖い
情の薄い女だとわかってはいたけれど、ここまでとは。
だんだん腹が立ってきた私は、シミュレーションを重ねた上で、母に新たな提案をした。
「じゃあ、わたしが一人暮らししている家にパパを引き取るよ。無駄に広いところに住んでるから車椅子も問題ない。ヘルパーさんと友達に手伝ってもらって介護する。それならいいでしょう?」
これも拒否。娘に迷惑かけたくないの一点張り。
おい待て、私がそうしたいって言ってんだよ。
どういうこと?
それだと己のメンツが保たれないってこと?
あんた、まじやばいな。(ブチギレ)
ここで母にとっての救世主・弟登場。
「ねえちゃん、もうママを詰めるのやめてあげて。このままだとママもメンタルやられて病気になっちゃう。それは俺ら(弟夫婦)もさすがにしんどい」
たしかに。
それぞれのガチャ
父にとっての嫁ガチャ
婦長さんのおっしゃるとおり。
ウチの父は「病気の家族の面倒を見るのは当たり前」という考えの人。母とは真逆。
母に断固拒否され、リハビリセンター(半年)→老人保険福祉施設(半年)→「要介護度5」を引っさげて300人待機をごぼう抜きにし、実家最寄りの特別養護老人ホームに入居。
施設内最年少。そして67歳で亡くなった。
病院に運ばれた日を最後に、3年間、一度も家に帰ることはなかった。
嫁ガチャはないんだわ。親と違って嫁は選べるから。
見た目じゃなくて、気立ての良い女を選ぶべきでしたね。父よ。
母にとっての子どもガチャ
息子と息子嫁→自分にうんと優しくしてくれる
娘(わたし)→戦闘力高めに育てた甲斐あって、信金と話をつけて団信で住宅ローンをチャラにしてくれたのは感謝。でも、ど正論を振りかざして実の母親を詰めてくる鬼。
子供の頃はボンヤリした子だったのに。強くしすぎた・・・
こちらもガチャじゃない。
おっとりした娘の戦闘力を最大値まで高めたのはあなただ。
私と弟にとっての父ガチャ
フェーズが進むごとに、無知だった我々は知ることになる。
要介護度5が、どれだけ最強カードかを。
父が亡くなるまでのあいだ、自費で払ったものはほとんどない。すべてが介護費用で賄われる。
なぜか?最高ランクの5だから。
ランクによって支給費が異なるということすら知らなかった。
それでも特別養護老人ホームの300人待ちは、さすがに無理だと思った。
周辺のどの施設もだいたい3桁待ち。さすが埼玉のベッドタウン。
だけどケアマネさんは涼しい顔で言った。
「要介護度5なんで、たぶん入れます」
まったく待たされることなく、老人保険福祉施設から特養へスムーズにお引越し。
最強カードすぎるだろう。
何年も待っている300人のご家族のみなさん、ホントすみません。
脳梗塞による左半身麻痺と高次脳機能障害で要介護度5。
でもじゃあ、要介護度3の人の介護がラクかといったらそんなことはないわけで、施設に入れればそれなりにお金もかかる。
「パパ、えらいね・・・」
私と弟の本心。父ガチャなし。
私にとっての親族ガチャ
母は論外として、やりすぎる私をやんわり制する弟、父にとって天使な甥っ子(唯一の孫)そして弟嫁。
リハビリセンターで言われていたそうだ。
「佐藤さんちの娘さん、仕事終わりに頻繁にやってきて、洗濯物回収して、本当に偉いわねえ」
リハビリセンターからの説明を受けるために、一度だけ現れた私を見て、誤解が解ける。
「あ、ちがう、あれが娘よ、奥さんと顔そっくりだもの」
「じゃあ、1日置きに来てるのは?え?お嫁さん?」
手術できないとわかった翌日に介護ベッドを調べはじめ、基本スタンスは「え?家族で介護するものじゃないんですか?」
でも私のように考えを押し付けることはせず、あくまで控えめ。
施設にいる父を1日置きに見舞い、洗濯物をせっせと持ち帰る。
その献身さゆえに「できた嫁」ではなく「できた娘」だと勘違いされるほどに。
ウチの父は5人兄姉の末っ子。
まあまあ問題の多い兄姉たちで、事業に失敗したり散財したりで、最終的に生活保護を受けていた人が5人中3人はいるんじゃないだろうか。
父が兄姉から金の無心の電話を受けるのを聞いていた。子供の頃から。
中学生くらいのときだったか、弟と固く誓ったことがある。
「結婚相手を間違えて、互いに迷惑かけたりしないよう気をつけよう」
嫁選びを間違えなかった賢い弟を持つ私にガチャは無い。
この一家(弟夫婦&甥っ子)と親族で良かったと心から思う。
親族はワンチーム
うなたれ世代の私たちは、ここから先は親族の葬式ラッシュ。
そして、生きてるほうの親族はワンチーム。
己の得意とするポジションに収まり、無駄な揉めごとなく、互いに心的ストレスをかけることなく、チーム一丸となって、介護や葬式をスムーズにやり遂げられるか。
冒頭に書いた私の友人(51歳、遥か昔に離婚歴あり、子なし、ひとり暮らし)がボヤいてた。
「仕事しながら、母親の介護に関するあれこれをワンオペでやるのはきつい。私には兄と妹がいたはずなのに・・・おかしい」
お父さんはずいぶん前にご病気で他界。妹さんも数年前にご病気で他界。
お兄さんはうつ病で休職中のため戦力にならず。むしろサポートが必要な側だ。
家族の生死および心身の健康状態含め「家族ガチャ」だなと思ってしまった。良い言葉じゃ無いのは百も承知。それでもガチャだと思った。
友人は、幼い子供のいる妹を乳がんで亡くし、姪っ子をだれが引き取るかですったもんだしていたなーと思ったら、今度は兄がメンタルやられて休職するからサポートしないとと言いはじめ。
その問題も解決していないのに、今度は母親の状態が悪くなり、年末に仕事の合間をぬって介護施設探し。
ケアマネさんも、当然ながら当たり外れがあるらしく、残念ながらハズレを引いてしまったらしい。
まじでしんどいと思う。
私たちが準備しておくべきこと
介護に関する知識なんて、いざ、そうなってから慌てて調べるので十分。
介護認定についても、相続についても、ぜーんぶググれば出てくるし、無料の弁護士相談だってウェブで申し込める。
じゃあ、事前にやっておくべきことは?
チームメンバーを把握することと、ガチャを潰しておくこと。
「いざというときに、おかしなことを言い出しそうなやつ」の対策を練っておいたほうがいい。
私の場合は、幸にして親族に恵まれているのだけれど、唯一の不安材料が実母なので、先日、終活ノートを購入。遺書機能付き。
私の活躍により「団信でチャラになった持ち家」を、母の死後または母が施設に入ったあとにどうするか。処分するにしてもすべて弟に相続させたいし、母も「あなたがいいなら」と同意しているが、完全に信用することはできない。なぜなら「認知症」という、まだ見ぬカードを引く可能性もあるからだ。
つい先日も、知人母が認知症になった途端、性格が急変してカネにがめつくなり、家に執着しはじめて、相続で揉めに揉めていると聞いた。なんとおそろしい・・・
みなさんのチームメンバーは大丈夫?
備えるべし。ではまた!
[この記事を書いた人]さとちゃん(SATO-CHAN)
1973年早生まれ ウェブまわり仕事のフリーランス、ブロガー
オーシャンビューな部屋で猫とふたり暮らし
性格→意地悪
茅ヶ崎カーストについて赤裸々に書きすぎて炎上したブログはこちら
https://ouchigohan.club/chigasaki/3121
◆コラムの感想やコラムニストへのメッセージはウナタレ 「友の会」コラムニストの部屋にて。
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