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何度結婚しても結局は同じ悩みにたどり着いてしまう件

息子が結婚を決めたと報告をくれた際、私は待ってましたとばかりドヤ顔で、結婚の何たるかの持論を息子に披露した。

それは、「何回結婚しても、何度相手を変えても、結局悩みは一緒」ということだ。

ひとつめは、まずお金の問題。お金はあってもなくても、夫婦、というか人生をこれ抜きにできない。

ふたつめはセックス。性的嗜好、頻度や愛情表現の方法という夫婦間での問題だけでなく、外注、不倫という第三者とのセックスについても、どこまで行っても夫婦の大問題となる。

3つめは子どものこと。持つ持たない、不妊治療するしない、養子、それから何人をどう育てるか、育児にどう関わっていくか。

ここを擦り合わせて協力できるかが大きな問題だ。

最後は親のこと。実家との距離感や経済状態、相続問題と、結婚という法的な責任を持てば避けて通れない場面がでてくる。

この4つの問題の面倒なところは、ひとつひとつが独立していないことである。

だいたい子供のことはお金の問題に繋がるし、育児を蔑ろにして外注セックスでお金をかける問題は後を絶たず、親は孫問題に口出ししがちである。

問題が連携してしまうと、まるでビンゴゲームのように、綺麗に次々揃ってしまうのだ。待て。リーチかかる前に何とかしないと。

そこで私は、恋人との新しい生活に胸躍らせる息子に言い放っておいた。

「この4つは、2つ分くらいの問題で抑えておけばリカバリできるから、問題が起こりそうだったら、なんとか初動で解決協力すべし」と。

私の経験上、3つ揃ったら離婚待った無し、4つになったら必ずもう別の個別の事由も絡んでいて、人生にダメージが大きくなりすぎる(実感)。

説明しよう!我は2回も懲りずに離婚した強者母である。子供は三人いるが父親は二人だ。関わった法的な元舅姑は計4人。元義理の兄弟姉妹も4人いる。

さらにうっかり再々婚しそうになった相手やその親、さらにはその子供たちを含めると、もう数えたくない数の関係者一覧ができる。FileMakerでデータ整理したほうがいいくらいだ。

そんな母の言う生きたアドヴァイスを心して聞くがよい、息子よ。

と、半ば強引に説明し、いかにビンゴゲームを途中でやめられるかが大事かと説き伏せた。

そしてなんなら、この持論を両家の初顔合わせでもドヤ顔で披露して、息子の妻のご両親を地平線の彼方へドン引きさせてしまったこともご報告しておきたい。(それはちょっとやりすぎだった)

結婚生活の不満は自分で解消するしかないのだ。

ともかく、自分の何度もの失敗を経て、そして友人たちの武勇伝を見聞きして確信したのだが、どの夫婦でも、この4つの問題をふたつくらいで何とか抑え込んでいる夫婦は、その後もちゃんとうまく行っている。

そして逆に言えば、何回相手を変えて再婚したとしても、その抑え込み手段を持たないと、結局また同じことで苦しむのだ。

そしてさらには、同じことで悩むのだから、結局のところ問題は自分に(も)あったんだなということも、この歳になってようやく理解できたりもする。(遅いぞ。遅すぎる)

まぁこんなことは今更私が強目に主張せずとも、聡明なるウナタレ世代の女性たちは、見聞きした友人知人の失敗から学んでいるのではと思うが。

とはいえこれから結婚しようかなと思う女性たちに、おせっかいにもアドヴァイスを押し付ける身近な人はそうそういないと思うし、

歴史の中から学ぼうにも、女性関係に奔放な大作家、芸のためなら女房も泣かす偉大な役者の話ばかりで、辛い思いをしたのは妻の側ばかりではないかと不安になるだろう。

そんな女性たちのために、ひとつの逆パターンをもお知らせしたい。

偉大なクラシック作曲家グスタフ・マーラーを骨抜きにして結婚したのち、構ってくれないからと言って浮気しまくり、

それでも愛してくれるマーラーを精神的に追い込んで精神科医フロイトの患者にしてもなお、その愛を振り切って、別のこれまた最高に才能ある男性と2回も再婚した妻、アルマという女性のことである。

かの有名なルキノ・ヴィスコンティ監督の傑作映画「ベニスに死す」のテーマに使われた、最高に甘く切ない美しいこの音楽は、実はアルマに恋した頃のマーラーの作品、交響曲第五番の第四楽章アダージェットである。

交響曲というオーケストラ作品で、もっとも作曲家が力を入れる器に、恋焦がれた女性のためにひとつ楽章をねじ込んた。

交響曲は通常4楽章で構成されるのだが、この交響曲だけは5楽章構成になっている。

弱冠21歳のアルマに出会って猛烈に恋した40過ぎのおっさんマーラーが、自分の渾身の作品にラブレターを1章分、無理やりいれたのだ。いいですね、この熱い感じ。恋するおっさんは可愛い。

Mahler – Symphony No.5 – Abbado – Lucerne Festival Orchestra 2004

結果、マーラーとアルマは出会ってすぐに結婚したが、残念なことに幼い子供を亡くしたり、借金作ったり、仕事ばかりするマーラーに寂しく思ったりと、結婚生活は安泰ではなかった。

そうするうちにアルマの不満は溜まっていき、ついには若き建築家と不倫する。この不倫はかなり大っぴらで、失意のうちにマーラーは急死する。

一方アルマはその建築家だけでなく画家との恋愛関係を持つ。しかしこの後ちゃっかり建築家と再婚したのに、また別の小説家と浮気して、さらにはもう一回再々婚しちゃったりする。

アルマはいう。構ってくれなくて寂しいから浮気した。

一緒にいてくれないから、どうしようもない。借金に苦しみたくない。家に縛られたくない。何度相手を変えても、そんなアルマの思いは変わらなかった。

そしてその問題は、何度相手を変えても結局根本的には解消できなかった。

晩年アルマは、アメリカに亡命して文化サロンを作り、才能ある若い音楽家らを集めて支援するなど、大きく社会的に成長した。

最後の夫である著名な小説家でさえ、「アルマ最後の夫」と、妻の呼称をつけられた。

アルマは結婚という枠組みの中でもがいて苦しんだ原因を、相手を変えながら模索し、結局その不満は自分で解消するしかないという結論に達したわけである。

息子よ、もう一度言おう。

君もよく知っていると思うが結婚生活は決して平坦ではない。

どんなに愛し合っていても、外的要因で問題は発生するだろう。そしてそれは、相手が持ってきた問題なのではなくて、自分に内在するものだと心しておくがいい。

パートナーに不満があっても、それがまだ問題カテゴリが1個か2個だったら、どうか一緒にそれを話し合って乗り越えてほしい。

何度もいうけど、離婚して相手を変えても、根本的な問題はきっと残ったままになるから。

愛する二人が愛し合うままでいてほしい。ママはそう願ってますよまじで。

それでも、二人で頑張って、頑張って、結果やっぱりもう無理だとしたら。

そんな時はまた相談に来なさい。次回は「それでもやっぱり離婚したいあなたへ」です!(終)

渋谷ゆう子


[この記事を書いた人]渋谷 ゆう子

香川県出身。大妻女子大学文学部卒。株式会社ノモス代表取締役。音楽プロデューサー。文筆家。クラシック音楽を中心とした音源制作のほか、音響メーカーのコンサルティング、ラジオ出演等を行う。音楽誌オーディオ雑誌に寄稿多数。
プライベートでは離婚歴2回、父親の違う二男一女を育てる年季の入ったシングルマザー。上の二人は成人しているが、小学生の末子もいる現役子育て世代。目下の悩みは“命の母”の辞め時。更年期を生きる友人たちとワインを飲みながらの情報交換が生き甲斐である。
著書に『ウィーン・フィルの哲学〜至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』(NHK出版)がある。

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