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自分の定年は自分で決める!「第二の就活」について考えた

あなたは今、働いていますか? いつから働いていますか? いつまで働くつもりですか? それは会社が決めますか? それとも、あなたが決めますか?

60歳定年制が崩れる世の中で

年金受給開始年齢、つい最近まで60歳だったんですよ。でも、現在は65歳から。「から」であって、国は「75歳まで繰り下げられますよー、ともっと後ろにしてください、そうするともらえる年金が増えますよ」キャンペーンを張っています。

かつては多くの企業が60歳定年制を敷き、定年退職した人が年金を受け取る、という図式でしたが、今は60歳定年のあと、年金をもらえる65歳までの5年間を再雇用という形で働く人も増えてきました。そうやって65歳でもらえる年金があれば、悠々自適の生活が遅れる、というほど年金をもらえる人は一握り。年金をもらいながら、何か仕事をして生きていかねばならない人の方が絶対数は多いはずです。

それでも、学校を卒業して就職し、定年になるまでずっと一つの会社で働いていた人にはそれなりの厚生年金受給があるでしょう。しかし最近は終身雇用制も崩れ、それどころが正社員としての雇用もままならず、非正規雇用として長期の見通しのつかない生活を余儀なくされる人が増えてきました。働いていない時期は、自分で国民年金を納めなければなりません。月に16000円は、決して安い金額ではなく、ついつい滞納してしまう人も多いでしょう。必死で納めたとしても、もらえる国民基礎年金だけでは年70万円程度です。

「第二の就活」にふさわしい時期はいつなのか

私は今、65歳です。最近同窓の友人と久々に新年会をしたところ、この三月で再雇用が終わる、という人が思いのほか多かった。

特に家庭持ちの男性。再雇用は、定年前より給与額が下がるとはいえ定期的に収入があり、技術的にもこれまでの経験がそのまま生きる職場です。

特に子どもがまだ学生の場合、学費などもかかるため、その魅力には逆らえないものがあるでしょう。

しかし65歳で再雇用が終わった時点で次の仕事を探す、というのは、思ったよりもずっと難しいこともわかりました。

ある知人は「週3回くらいのパートでいいから、体に無理のない程度に働いて、少しお小遣いが増えればいい」と思っていたところ、「65歳からのパート新採用はしない」と言われたそうです。

一方、管理職としてのキャリアを生かして……と考えた友人も、「再雇用」がネックに。

「再雇用」とはあくまで「再」雇用であり、それ以前の現役のキャリアとは異なる、というのです。

「再雇用」=「現役を離れてすでに5年」という感触がこれほど強いとは、思いもよらなかったといいます。

自分のキャリアの「売り時」を間違えると、人生のプランが狂うことがあるかもしれません。

早期退職をした人の話もしましょう。彼女は私より4つ下。

長年会社勤めをやっていましたが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックでボランティアをやりたいと一念発起、早期退職勧告制度を利用し、定年の数年前に仕事を辞めて、第二の人生に入りました。

結局コロナによってボランティアの方は中途半端になってしまいましたが、辞めてしまったことで通勤などはしなくてもよくなり、在宅で友人の仕事の手伝いをしつつ、新しい日常を楽しんでいます。

彼女は「早く辞めてよかった。まだ体力のあるうちに、いろいろとトライすることができた」と言っています。

人によってタイミングはありますが、「考えておく」ことで、決断の時機を逃さすに行動できることは共通だと感じました。

「好き」を仕事にすれば、寿命も延びる?

「好き」を仕事にしちゃいかん!と言われますよね。好きなことも仕事になるとストレスになる、とか。仕事はもっとシビアに考えろ、とか。

でも、第二の人生的に考えると、好きでもない仕事を一生できるのか?っていう話になりませんか? 

もちろん、「好きなこと」をするためにお金が要る、だから好きじゃないことでも仕事にできる、という人は別です。それは本当に素晴らしいことですから!

でも、私は敢えて提唱したい。

好きなことが仕事になるのなら、そこに向かって頑張ろう!

それが「第二の就活」なら、なおさら!と。

失敗したっていいじゃない! 第二の人生なんだから!

私は今、ライターや講師として働いています。個人事業主となったのは、48歳の時でした。

それまでは専業主婦で、企業に就職していたのは新卒後のたった1年半のみ。あとはパートやアルバイトを少しした程度です。

48歳で仕事を、それもフリーランスで始めるのは一大決心でしたが、「物書きとして仕事をする」という決意は固かったので、そのこと自体はあまり大変ではありませんでした。

生活費は夫が稼いできてくれるという安定感の中での船出であったため、気分的に楽だったのもたしかです。

ただ、自分なりに頑張ってはきましたが、5年ほど続けたときに、ふと思いました。

私は今、社会人としてどういう状態なの?

ライターといっても、出版社などでキャリアを積んでからフリーになったわけではありません。ゼロから始めたのに、年齢だけはもう50歳を過ぎている。

歳だけ見れば、もう定年間近というわけです。他のキャリアの人に比べて、もうちっぽけすぎて凹みます。

私が決めた定年が、86歳である理由

そこで、ライターになって何年、という図式を、新卒社会人に当てはめてみることにしました。(一つの会社にずっといる、という前提でのことです)

48歳=22歳=新卒。右も左もわからない。

53歳=27歳=今の仕事はマスターしている。新たな仕事にチャレンジしたい。

56歳=30歳=部下持ちになる。

60歳=34歳=課長クラス。視野の広い仕事、提案ができるようになる。

66歳=40歳=中堅どころとして信頼されつつアグレッシブに新分野開拓。

76歳=50歳=部長クラス。

86歳=60歳=定年。この分野ひとすじ38年。ひと通りのことはやったといえる。

現在、私は65歳です。気がつけば、この仕事をしてもう17年。

この図式を考えた53歳のころは、まだ先が遠かった。

なんとなく、70歳くらいまではなんとか続けられれば、と思っていましたが、今は、あと10年は頑張れそうだと感じています。

やればできるじゃないか! 17年続けたら、一応ライターのはしくれだな。

もうすぐ「40歳」になるので、「信頼されつつアグレッシブに新分野開拓」をしよう、と、改めて決意しました。

皆さんの中にも、40代で起業された方、多いのではないでしょうか。

定年を自分で決められるのは、起業家だからこそ。

それまでに、お互い「ひと通りのことはやった」と思える仕事をしていこうではありませんか!

仲野マリ


[この記事を書いた人]仲野マリ(Mari Nakano)

エンタメ水先案内人 1958年東京生まれ、早稲田大学第一文学部卒。
映画プロデューサーだった父(仲野和正・大映映画『ガメラ対ギャオス』『新・鞍馬天狗』などを企画)の影響で映画や舞台の制作に興味を持ち、現在は歌舞伎、ストレートプレイ、ミュージカル、バレエなど、年120本以上の舞台を観劇。おもにエンタメ系の劇評やレビューを書く。坂東玉三郎、松本幸四郎、市川海老蔵、市川猿之助、片岡愛之助などの歌舞伎俳優や、宝塚スター、著名ダンサーなど、インタビュー歴多数。作品のテーマに踏み込みつつ観客の視点も重視した劇評に定評がある。2001年第11回日本ダンス評論賞(財団法人日本舞台芸術振興会/新書館ダンスマガジン)佳作入賞。日本劇作家協会会員。

書籍「恋と歌舞伎と女の事情」

電子書籍「ギモンから紐解く!歌舞伎を観てみたい人のすぐに役立つビギナーズガイド」

YouTube 「きっと歌舞伎が好きになる!」(毎週火曜16時配信)

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