オンナは50から先が面白いと思う
「人生には波がある」というのは経験からもわかることです。
波は年単位・月単位でもあるけど、もっと大きく人生全体のバイオリズムというようなものがあって、その中には良い時期も悪い時期もある。
時期は人によって違うのだと思うけど、私の場合は後半に行くにつれてビッグウェーブ(良い波)がやってきた感じがします。後半というのは50歳以降です。
余裕ができたからそう感じるのかもしれませんが、20代30代はメインの仕事が「お母さん」で、結婚前後に波乱があったものの変化の少ない穏やかな時期でした。
40代は前回書いたように混迷の時代。
振り返ればこの時期は、家族全体が水面下で大きく変化していたタイミングでもあり、いつの間にか別居していたのも40代後半からだったような気がします。
この別居についてはみんなに笑われるのですが、私は随分長い間、自分が別居していることに気づかなかったのです。
夫は元々出張の多い人で週2回はどこかに行っていたし、仕事柄土日や連休など金融機関が休みの時もいないことが多くて、仕事ばかりで家庭を顧みない夫に私は完全に興味を失っていました。
それで、いつの間にか全然帰って来なくなっても、「どこにいるんだろう」と思うことさえなかったのね。
51歳か52歳の時に、「あれ? 私たちもしかして別居してるのかな」と気づき、夫に聞いてみたら「そうだ」と言われてようやく自覚したわけですが、そこから先の人生はめちゃくちゃ面白いものになりました。制約がない分若い頃より楽しい。
娘たちは既に結婚しているので私は自由。
「別居したからには恋愛しなくちゃ」と、フランス人のパートナーを求めてさすらい、くっ付いたり離れたりしながら何人かのボーイフレンドと面白おかしい時間を過ごしました。
57歳で離婚した後は、ますます開けていった感じがします。結婚が向いてなかったのかしら。笑
人生のピークはいつやって来るかわからない
一方で、ライフワークにしているアートの世界もいきなり開けました。
2019年の10月には墨絵の作品3点を、パリのルーヴル美術館の地下で毎年開かれる美術展に出展するチャンスに恵まれました。
ルーヴル美術館を訪れて自分の作品を前に、「これが30年続けてきたことの集大成か」と感慨深く眺めたのでした。
実は20代の頃に四柱推命で「あなたは大器晩成です」と言われたことがあったのです。
でもその時は、「そんな先のことを言われてもちっとも嬉しくない」と思ったの。しかし時はあっという間に流れ、62歳の私は今ルーヴル美術館に立っている。
これが大器晩成の意味だったかと思いきや、これではなかった。
その2年前に始めた日本画。私は最初から「何かが来る」という手応えと予感があったのですが、これが見事にハマり爆発。
あれよあれよという間に銀座のど真ん中で個展を開く機会を得て、いつの間にか「ペットの肖像画家」になってしまいました。これは全部60代になってから起きたこと。いやぁ、自分でもビックリです。
なので、あなたが花開く時はこれからやって来る可能性があるってこと。
人生のピークはいつやって来るかわからないということです。
ただ1つ言えるのは、そこに至るまでに選択して蓄えてきた人間関係と場と自分の意志がぴったり重なって調和した時にそれが起きるということ。
なので、40代・50代をどう過ごすかが大切なのです。
[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ
娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。
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