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娘たちがメチャクチャだったお陰で鍛えられた40代

孔子は「四十にして惑わず」と言ったけれど、私たちは聖人じゃないのでそうスッキリとはいきません。

むしろ、40代は一番悩み多き年頃かもしれない。

子どもが難しい年齢に差し掛かり心配の内容が変わってくるし、自分の時間なんてそうそう手に入らない。

「自分が何者か」なんて考える暇もなく、〇〇ちゃんのお母さん、〇〇さんの奥さんという肩書きの中で生きているのがその年代です。

私の40代もそんな感じでした。当時、私はコピーライターの傍らある保険会社のトレーナーをしていて、結構忙しい日々を送っていました。

夫は多忙なサラリーマンで家を留守にしていることが多く、子育ては完全にワンオペでしたので、母親業も忙しかった。

朝は誰よりも早く起き、夜は誰よりも遅く寝て、ただただ日々の生活に追われていました。

当時、高校2年生の二女は荒れていて、何かとぶつかることがありました。

私は娘たちが生まれて以来、良い母親であろうとそれなりに頑張っていたつもりでしたが、良い母どころか人格を全否定されて打ちのめされた。

そもそも良い母親って何だろう。

私はただ、良い母親を演じることに酔っていただけなのかもしれない。あの年頃の子どもは難しいです。

私自身はそんな風に面と向かって母親を非難したことがなかったので、どう扱ったらいいのかわからず困惑していました。

心配しなくても物事はそれなりに進んで行く

そのうち二女は不登校になり、ある日、自殺を図りました。きっかけは失恋。抗うつ剤や鎮痛剤・風邪薬など100錠くらいを飲んで、部屋で意識を失っていたのです。

幸い私が家にいる時だったのですぐに発見して救急車を呼び、病院で胃洗浄。大事には至りませんでしたが、夫も私も大きなショックを受けました。

普段は仕事にかまけて家庭を顧みない夫が泣くのを初めて見た。

長女はといえば、その頃は演劇の専門学校に通っていましたが、いつの間にか家からいなくなり、同級生の男の子と同棲を始めました。

もうね、みんな勝手なのです。私が思い描いていた家族の形なんて悉く崩れて家族はバラバラ、理想は崩壊。

でもね、これって誰のせいでもなく、仕方なかったのだと思います。だって娘たちは独立心が強く、やりたいことは何がなんでもやるタイプ。

そしてそれは育て方の問題ではなく、彼女たちが生まれ持った魂の問題だからです。

荒れていた次女は高校を卒業する頃にはすっかり落ち着き、普通に会話できる親子に戻りました。あの時期は一体なんだったんだろうと思うくらい。

ところが、成人式が終わって「これで親の務めは一段落」とホッとしたのも束の間、今度は「妊娠しちゃった」。

最初は結婚すると言っていたのに、彼とすったもんだの挙句別れ、シングルマザーの道を選んだ二女を前に私は動揺しました。やっと子育てが終わったと思ったのに、また1から赤ちゃん?

先のことを考えると不安しかなかった。生まれて来る子をちゃんと育てられるのだろうか。

生活のリズムはどうなるんだろうか、等々。でも、生まれてみたらなんてことはない、家の中に喜びが増えただけで、不安なことは何ひとつ起こりませんでした。

娘はしっかり働き、やがてその子を連れて職場の人と結婚。生まれた子は実に明るくのびのびと、自己肯定感の塊のような女の子に育ちました。(二女にはその先もいろいろあるのですが割愛します)

こうなるとですね、私としてももう「世の中何でもアリ」という感じになります。

私はそれまでは結構保守的な人間でしたけど、私が抱えていた世間の常識とかそういうものは見事に破壊され、否応なく手放すことになりました。

私の意志でどうにかなることなんて1つもなかった。そして心配しなくても物事はそれなりに進んで行く。

娘たちに鍛えられたお陰で「なるようになる」とドーンと構えられるようになりました。

私の40代はこんな感じでしたが、この時期の経験が私のその先の人生に大きな影響を与えたのは間違いありません。

私が描いた、孫たちの似顔絵
やまざきゆりこ


[この記事を書いた人]やまざき ゆりこ

娘2人がまだ幼い30代前半のときに在宅ワークができるという理由でコピーライターになる。同時期に、伯母の勧めで書と墨絵を始め、以来文章を書くことと絵を描くことがライフワークに。6年前、思いつきで始めた日本画で色の世界にハマり、コロナ禍のおうち時間に身近な動物を描いていたらいつの間にかペットの肖像画家に。57歳で熟年離婚。現在はフリーペーパーのコピーライターをしながら、オーダー絵画の制作に勤しんでいる。着物好き、アート好き、美しいものが好きな1957年生まれ。

墨絵&日本画 梨水
http://risui-sumie.sakura.ne.jp/wp/

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