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いくつになっても推し活できる人生でありたい

先日夫と二人で演歌歌手石川さゆりのコンサートに行ってきた。場所は京都、夫の実家のお墓参りのついでに。いや、さゆりのコンサートのついでにお墓参りかも。

ことの始まりは昨年の大晦日。紅白歌合戦を見ていて「今年はあまり面白くなかったね、強いて言えば石川さゆりがとても良かったくらいかな」なんて何気ない会話に夫が反応して「ちょっと石川さゆりのコンサートとか行ってみたいね」と言う流れに。

普段は好きなもののジャンルが真反対すぎて、一緒にライブに行くことも映画を見に行くこともしない二人だが、この時ばかりは珍しく意見が合致。演歌歌手のコンサートを見に行きたい心境になろうとは、お互いに歳をとった証拠だろうか。

さてそこから石川さゆりのコンサート情報を集めだし、近場の東京でのコンサートに応募するも外れ、次はどこだ?と探していたら京都。春先に京都にある夫の実家のお墓参りを考えていたところだったので、コンサートチケットが当たったらお墓参りを先延ばしして京都行きを計画しよう!ということで申し込んだら見事に当選したという次第。

1泊2日、1日目がお墓参りで2日目にコンサート、他は特に観光もせず夜ご飯だけ祇園の美味しいお店に行こうという大人旅である。この歳になるといろんなところを回ろうとすると、時間に追われて疲れるばかりだし、京都の主な観光地はインバウンドで外国人ばかりで混雑してるし、目的をぎゅっと絞って行動したのはゆっくりできて良かったかもしれない。

さて、目的の石川さゆりのコンサートである。会場はロームシアター京都のメインシアター、キャパ2000名程度のホールだ。私たちは昼の部に参戦。

会場付近に近づいたらなんだか普段行く若いアーティストのライブ会場とだいぶ様子が違うのだ。集まってくる人たちの年齢層がだいぶお高い。男性も女性も同じくらいの割合でいらしてるのだが押しなべて高齢者が多い。いや自分たちだってそこそこいい年(60代)なのだが、その私たちが若手?と言うくらいの年齢層なのだ。

ある人は同年代のお友達同士で、ある人はお子さんに付き添われながら、ある人は杖を突いて、ある人は車イスでよろよろと会場に集まってくるのだ。会場入りの足取りもゆっくりである。いつも行くライブ会場の高揚感などとは無縁の世界。

演歌歌手のコンサートってそうなの?この年齢層がマストな観客層?コンサートホールの段差にけつまずいて転んじゃう人がいるんじゃないか?とヒヤヒヤしながら会場内を見回して席に着き、いよいよコンサート開始だ。

結論から言うと石川さゆりは素晴らしかった。芸能生活50周年も超え、66歳の年齢で2時間のコンサートをぶれもせずに歌い上げるあの歌唱力は素晴らしかった。しかもこれから夜の部もあるのだ。

にわかファンの私たちが知っている曲も知らない曲も、聞き入らせてしまえる実力はさすがである。途中のMCも地元の話題を入れつつこなれた感じで回していくのもさすがである。セットリストの最後に大好きな「天城越え」を聞けて感動だった。思っていた以上に良かった。

そんなコンサートの前3列くらいには、平均年齢推定75歳の後援会(ファンクラブ)の方々がそろいのハッピを着て陣取っていらして、常連さんなのか石川さゆりの歌に上手に合いの手を入れたり、お決まり(であろう)のコール&レスポンスをしたり、ペンライトを振ったりと盛り上がっていた。

コンサートの中頃、これも恒例なのか観客席に年齢を聞く時間があった。石川さゆりが順に年代を聞いて観客が手を上げて答える。10代20代なんてはなから数に入っていないのだろう、40代から始まり50代60代でもまだ数はまばら。70代80代が観客のおおよそを占めていた。そしてこの日の最高齢は95歳のおじいちゃま。

観客席から大きな声で石川さゆりに向かって「95歳だよー」とアピールして手を振るその姿は感動ですらあった。その歳になっても推しに向ける情熱があることが素晴らしかった。

そのおじいちゃまがいつから石川さゆりのファンなのかはうかがい知ることは出来ないのだが、年齢からしてもしかしてデビュー当時からのファンの可能性もなくはない。だとしたら50年、自分の推しが50年もの長い間活躍してくれて応援し続けられる、なんて幸せなんだろう。

自分が95歳の時に好きなアーティストのコンサートにはたして行けているんだろうか?その歳まで推しを押し続ける情熱があるんだろうか?

そう考えると、推しがいる、推せるものがある生活と言うのはなんて豊かで幸せなんだろう。その対象が誰であれ、何であれ、「よし、次はここに会いに行こう」という目的があれば、その日まで健康で暮らそうというモチベーションにもなり得るだろう。歳を取ってからの推し活こそがもしかしたら長生きの秘訣かもしれない。

そのためにも私たちウナタレ世代は今のうちから推しを見つけて、せっせと推し活に通う生活に慣れておかなければならないのだ。推し活には気力も体力も必要!そして経済力も。

石川さゆりのコンサート会場でもグッズ売り場が作られていて、新曲のCDやら公式グッズが売られていた。人気アイドルのコンサート会場と違いグッズ売り場ものんびりとしたものである。コンサートが終わり「石川さゆり、ホント良かったわー」と感動していた夫はいそいそとおばちゃんたちの列に並び、本当に欲しいのか?と思うようなさゆり手ぬぐいとさゆり饅頭をまんまと手にし、ご満悦で帰路についたのだった。


[この記事を書いた人]sachi

片づけアドバイザー 今年還暦を迎えたタイミングで4人目の子育てと母の介護から卒業。 やっと戻ってきた自分の時間に、好きなことやりたいことを模索する日々。 好奇心の赴くままに行動する日常をお届けします。

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