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記憶の旅 レミニセンスバンプと中島みゆきの『傾斜』が描くウナタレマダムの心の軌跡

みなさんは、若い頃大好きだったアーティストの詳細は鮮明に記憶しているのに、最近の出来事は、直ぐに忘れてしまう事はありませんか。

ウナタレ世代の女性にとって、過去の思い出や感情を呼び覚ますことは、心理的な回復や、自己理解の一部とも言えます。

「レミニセンスバンプ」とは心理学用語ですが、最近注目を集めるヒトの記憶や認知機能についての現象の事を示します。

レミニセンス=回想、想起

バンプ=こぶ

つまり10代から20代にかけての記憶は想起量が(こぶのように)高いという研究データーからこのようなネーミングになっています。

そうそう、レミニセンスバンプに関連し、現在注目を集める、認知症のリハビリテーションとして「回想法」という心理療法があります。これは高齢者が昔の話をするのは、病的なことではなく、生きる力を引き出す意味があるとしてとらえる療法です。

回想法により

1 自己認識

2 今と未来をつなぐ

3 自信と希望を取り戻す

などの効果が期待され、ご自身の歴史に敬意を抱き、持てる力を取り戻す効果があるといわれています。

 この心理学用語の一つである「レミニセンスバンプ」と、中島みゆきの楽曲『傾斜』で、みなさまが、自らの人生の旅を振り返り、思いを味わい、こころのうちをみつめるテーマを、公認心理師のアングルから、みなさまへお伝えしたいと思います。

「レミニセンスバンプ」とは、特定の音楽や香り、風景などが、過去の思い出を呼び起こす現象のことを指します。

青春時代に聴いていた音楽を聴いて一瞬でその時にタイムトリップしたり、昔付き合っていた彼がつけていた香水の香りで甘い記憶を思い出す・・・なんてこと、ありませんか?

中島みゆきの『傾斜』は、まさに、このレミニセンスバンプの効果を持つ楽曲の一つです。

(※Youtube探したらカバーしか見つからなかった 涙)

 

曲のメロディーが流れると、ウナタレ世代の女性は過去の光景が蘇り、若き日の自分と現在や未来の自分出会うような、不思議な感覚に包まれることでしょう。歌詞には、時の流れや感情の移ろいが描かれています。

みなさまは、これまでの人生で、さまざまな経験を積み重ねてきましたね。まさに「注ぎ足してきた」訳です。

 成功や喜びの瞬間、そして失敗や悲しみに直面した時の感情―これらはみなさんの心に深く刻まれています。『傾斜』の歌詞を通じて、人生の軌跡を辿り、その中で感じた喜びや、悲しみを再び想起するのではないでしょうか。

また、『傾斜』は過去との対話を通じて、未来への希望を描いています。 過去の経験から得た教訓や、成長の証として、新たな一歩を踏み出す勇気を感じ、これからも新たな挑戦に向かって前進し、自らの人生を豊かにするために、 まず今日の小さな一歩を、踏み出す勇気をもらえる様に思います。

 また、レミニセンスバンプという現象と、中島みゆきの『傾斜』は、過去の思い出や感情と向き合いながら、人生を振り返り、新たな気づきや希望を、見出すことができます。『傾斜』が心を温かく包み込み、老いに向き合う心持ちと、歳を重ねることは、悪いことではないという、未来へうっすらとした希望すら感じます。

♪としをとるのはステキな事です。そうじゃないですか 忘れっぽいのはステキな事です。そうじゃないですか。♪

最後に、レミニセンスバンプについて、興味を持った方に、オススメの映画があります。「レミニセンス」という映画です。

科学技術を駆使して、人々の記憶を探索する、未来の世界を舞台にしたサイエンスフィクション作品。 2021年に公開され、主演はヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、そしてタンディ・ニュートンが務めました。

物語は、海面が上昇し、気候変動によって壊滅的な被害を受けた未来のマイアミを舞台に展開します。 主人公のニック・バナスター(ヒュー・ジャックマン)は、高度な技術を用いて人々の記憶を再生し、過去の出来事を体験することができる装置を、運営しています。

 「レミニセンス」は、記憶と過去の影響を探求しながら、サスペンスとアクションを組み合わせた、独創的な作品として、注目を集めました。 よかったら、ご覧になってみてくださいね。

記憶を大切にすることは、生きた証という財産を守り、ご自身の人生を大切にすることだと考えると、昔の記憶も殊更に愛しく感じずにはいられませんね。

松本恵理子


[この記事を書いた人]松本恵理子(Eriko Matsumoto)

一般社団法人乳がんしあわせ相談所 代表理事
看護師 公認心理師
1967年横浜市生まれ 聖マリアンナ医科大学看護専門学校卒業

子供の頃、キャンディキャンディキャンディを夢見て看護師を目指す。結婚後は早々に主婦になる事を目指すも、命の現場の臨場感にたまらなく心がひかれ、気がつけば30年以上ナース生活を送っている。
9年前の乳がんの闘病経験から、自分にはまだ残された役割があると感じ、がん患者さんとご家族のための支援法人を設立。
趣味は資格取得と猫を愛でる事。小型船舶一級資格を活かし、渡し船の船長になることを目論んでいる。

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