都心から60分、野草を食べてみたらめちゃくちゃ美味しかった話
おばキャンは25年苦楽を共にする仕事仲間と2匹の犬、おばキャンの息子と職住融合の生活をしている。この一軒家には小さな庭があり、一年中「庭キャン」をしている。隣は大家さんのそれはそれは立派なお庭で、我が家の庭と陸続き。ぶっちゃけ、キャンプ場に行かなくとも自然を満喫できる贅沢な環境だ。
この庭には樹齢100年を超える梅の木が鎮座している。
引っ越したばかりの頃は、この木になる実は杏だと思っていた。実が巨大だったから。大家さんから梅の木だと聞いて驚いた。それは実の大きさのことだけじゃなくて。
何隠そう、おばキャンは無類の梅好きなのである。
年子で弟が生まれたことで、放っておかれがちだった幼少期、台所に置いてあった梅酒の梅の実を全部食べてしまったという逸話あり。(この時すでに酒豪確定)
遠足のおやつに梅こんぶは欠かせないし、お祭りのソースせんべいは梅ジャム一択。梅味のものに目がない。
もちろん梅干しが一番好きだ。大人になってからは自分でも梅酒や梅干しを漬けている。そんな梅フェチが、梅の木のある家とご縁があったのは奇跡と言っていいと思う。
毎年、2月に白くて可憐な花を咲かせ、6月ごろに大きな大きな梅の実をならせる。
禅の言葉で「柳は緑 花は紅」というものがある。それぞれに役割があり、誰も見ていなくても、誰に期待されなくとも、ただ使命をまっとうすること。健気でもあり気高くもあるそのお姿に、自然と「梅先生」と呼ぶようになった。
賃貸のため、いつかは梅先生とお別れする日がやってくる。ここ数年は梅先生を残していきたいと思うようになった。ネットで色々と調べて去年挿木で増やす方法を試してみたが、うまくいかなかった。いろんな人にこの話をしていたところ、なんと樹木医を紹介してくれるという人が出てきた。
樹木医は本物の対話ができる人だった
こうして2月中旬、樹木医の山田先生がやってきた。知らなかったのだが、樹木医は医師や獣医のように免許制ではないらしい。
ぶっちゃけ、免許があればその腕がどうかはさておき信頼されやすいし、人間や動物なら声や態度で良くなっているのか悪くなっているかがわかりやすい。一方、樹木医は病気の木を治すお医者さんであり、対象は言葉を発さないどころか、病気かどうか見ただけではわからなかったりもする。人間や動物に比べ、治療には時間もかかる。
つい、どのように仕事の発注があるのかが気になった。聞けば100%紹介なのだそう。
山田先生が静かに梅先生を観察している姿を拝見してその理由がわかった気がした。木を見て、土を見て、そこに共存している植物を見て、風の流れ、日の入り方などをじっくり観察する。
言葉を発しないからひたすら観察する。これが本物の対話だと感じた。だから木の本当の願いを叫びを聞くことができるのだ。
木の精霊ネットワークで口コミされているんだと思う。「この先生ならわかってくれる」と。木から木へと口コミされて仕事をしている人なのだ。梅先生もまた、話を聞きつけて自ら先生を呼び寄せたのに違いない。
言葉を話したって実は理解し合えてないのが人間だ。山田先生の木との向き合い方は、社内外でのコミュニケーションに悩む企業からも求められているという。
梅先生を残そうプロジェクトは、山田先生の登場で本格的に動き出した。今年はタネから育てることにチャレンジする予定である。
都心から60分の公園で野草を喰らう
前置きが長くなったが、山田先生が定期開催している野草を採取して食すイベントに参加した。
常々、キャンプの第一目的は防災訓練だと言っている。キャンプは美味しい非常食を探すための試食の場であり、消費期限の近いものを食べて循環させる場でもある。
以前から自分で食べ物を採取して食べる、ということにも興味があった。魚を釣ろうと思って釣竿を準備したこともあったが、そんな時に限って周辺のキャンパーさんが釣った魚をくれたりして、自足キャンプは実現していなかった。
前述の梅先生と山田先生とのご対面の際、週末に野歩きすると聞き、二つ返事で参加を決めた。
10時半、武蔵野公園に集合。10人ほどのメンバーで山田先生のレクチャーを聞きながら、公園を流れる野川の土手を90分ほど散策。
1人1種類から2種類を担当し、ひたすら採取。野鳥でも有名な公園らしく、澄んだ空気の中、鳥のさえずりを聞きながら手を動かす。野草採取は実に瞑想的だった。
野草を食べるといえば、渡鬼俳優の岡本信人さんが有名だが、天ぷらのイメージが強い。天ぷらにすれば、とりあえず美味しく食べられる。
山田先生の野歩きがすごいのは、採取した野草の特徴を活かして、様々な料理に展開するところだ。
おばキャンが担当したカキドオシは、独特の爽やかな香りが特徴。茹でてすり潰して、オリーブオイルと塩で味つけすれば、和風ジェノベーゼに。クラッカーに乗せたら美味しすぎてぶっ飛んだ。
他にも、ノビルは生でキムチ和え、カラスノエンドウは胡麻和え、よもぎは白和えなどなど。
これ全部タダですのよ!そこの奥様〜!
野歩きの間、丸鶏の薬膳スープをコトコト煮込んでおき(山田先生の妹さん夫婦がスープの番をしてくださった)スープを囲んで車座に。採取したセリは薬膳スープにIN!
薬膳スープは体をぽかぽかにするから、冬のグループキャンプで使える技だと思った。スープ飲みながら寒さ知らずで永遠におしゃべりできる。
採取した野草は、知らなければ雑草だが、実は大地のエネルギーを吸い上げてたくましく生きるエネルギーの塊。梅先生といい、野草たちといい、他人の評価など意に介さないあり方に考えさせられる。何を必死に自分の存在価値をアピールしたいのか己は。
防災的にも、そこらへんに生息する美味しい野草を知っておくのはメリット大。季節によって野草の種類も変わるので、継続参加して防災キャンプレベルをアップする予定。
次回は3月23日に開催するそうなので、興味のある方はウナタレ公式LINEからDMを。
[この記事を書いた人]おばキャン(Obachan-camp)
毎月1〜2度のソロキャンを楽しむアラフィー。離婚を機に、仕事仲間(女子)と中学生の息子と職住融合生活。起業して19年目。働く女性のハッピーキャリア&ナチュ婚を支援する学校を主宰している。
ソロキャン活動はtwitterで発信中。@obachan_camp